生活保護受給時に持ち家を売却しなくても良い5つのケース

生活保護 持ち家 売却

生活保護制度とは、やむを得ない事情によって生活に困窮している方に対して保護を行うというもの。

憲法で定められている健康で文化的な最低限度の生活の保障のために導入されている制度です。

現在日本では164万世帯が生活保護を受給しているとされており、日本の6000万世帯数と比較すると40人に1人以上という計算になります。

基本的には資産がなく自身の収入では生活費をまかなえないと受給対象となりますが、実はそれだけでは生活保護が受給できるかどうか決まらないことをご存知でしょうか。

また、収入がなくても家を持っていたら売却しなければならないのか、今所有している家を売却せずに受給できるケースはないのか、気になる方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、生活保護制度の条件や、制度を受けるときに持ち家を売却しなくても良いケースについて紹介していきます。

生活保護の受給条件について

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まずは、どんなときに生活保護制度が適用されて、お金が支給されるのか、条件について知識を深めていきましょう。

受給条件は大きく分けて4つあり、資産状況や身体的理由などさまざまな観点から制度が適用されるか判断されます。

働くことが出来ない

ではまず1つ目の条件です。

病気や怪我などによって働けなくなったり、一家の大黒柱の死亡などによって生活に困っている状態であることを要します。

本人に何ら問題がない場合でも、シングルマザーで子育てのために働くことが出来ない人や、同じく親族の介護のために働きたい意思があるにもかかわらず働けない、という場合は受給要件を満たしていることになります。

資産がない

生活保護を受けるための2つ目の条件として資産を持っていないことが必要とされ、この資産には以下が該当します。

  • クレジットカード
  • 車やオートバイ(生活に必要不可欠な場合は例外が認められます)
  • 2台以上のパソコンやスマートフォン
  • ブランド品など高額で売却可能なもの
  • 投資用口座
  • 持ち家

持ち家の例外に関しては詳しく後述いたします。

車やブランド品といった現金化が可能なものは資産とみなされ、生活保護を受けるための条件になっていると覚えましょう。

クレジットカードを持っていることが資産としてカウントされてしまうという理由として、クレジットカードを発行できる(所持できる)ということは、収入がある程度安定していると考えられるため、生活保護の受給条件にはクレジットカードを持っていないことが必要とされます。

親族からの支援が受けられない

3つ目の条件として、第三親等のうちに支援してくれる身内がいないことが必要です。

生活保護申請をすると第三親等までの親族へ扶養照会がおこなわれ、支援してくれる身内がいないかを調べられます。

しかし例外があり、下記の場合は扶養照会がおこなわれません。

  • 既に親族が生活保護を受給している場合
  • 病院へ入院している場合
  • 未成年あるいは70歳以上の場合
  • その他特別の事情によって明らかに扶養出来ない場合

その他の特別な事情とは、家庭内暴力によって逃げてきたケースなどで、親族へ連絡をすると扶養に無理やり入れられてしまう、親族がDVなどの加害者であるという明らかに支援を受けることが見込めないなど、福祉事務所が危険の生じる恐れがあると認めた場合を指しています。

その他の公的制度を受けていない

最後に確認していただきたいのは、その他の公的制度を受けていると受給ができないということです。

  • 雇用保険失業給付
  • 生活福祉資金貸付
  • 住居確保給付金
  • 休業補償
  • 母子父子寡婦福祉資金
  • 求職者支援制度

これらの公的制度は、生活保護よりも先に利用することを求められます。というのも、生活保護とは日本人最後のセーフティーネットとして設けられているためです。

他にも市区町村によっては他の公的制度があったりするので、受給申請をする際には一度役所に問い合わせてみましょう。

持ち家を売却しなくても良いケース

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さて、肝心の持ち家が資産としてカウントされるかどうかについてですが、結論から述べますと、持ち家を売却することなく生活保護の受給を受けることが出来たケースはたくさんあります

そこで、持ち家を売却することなく受給できたケースと、反対に売却をしなければならないケースについてご紹介いたします。

生活維持のために活用されているケース

持ち家が最低限度の生活を維持することに役立っており、売却することでそれが破綻すると判断されたときには、持ち家の売却をしなくても良い場合があります。

もちろん高級な物件に住んでいる場合などは、持ち家の売却指導が入ることもあります。

厚生労働省では具体的に、「最上位級地の標準3人世帯の生活扶助基準額に同住宅扶助特別基準額を加えた額の概ね10年分」と定めており、これが持ち家の売却指導が入るかどうかの基準となっています。

この金額はおよそ2,000万円とされています。

つまり、2,000万円を下回ると評価される持ち家については、売却指導が入ることなく生活維持のために活用することが良しとされます。

東京など首都圏におけるマンション、戸建ての平均価格は4,000万円を上回りますので、首都圏に住んでいる人が持ち家を所持しながら生活保護を受けるというのは難しい場合が多いです。

住宅ローンが残っていないケース

持ち家の売却指導が入る理由として、住宅ローンが残っているということが挙げられます。

住宅ローンが残っている人に生活保護費を渡すと、国のお金を使用して受給者の資産形成を手伝うということになってしまうからです。

そのため、住宅ローンが既に残っていない場合は、売却指導が入らず持ち家を売却せずに受給できるケースがあります。

たとえローン残債があっても、自治体によっては持ち家の所有を認める特例もあるので、住宅ローンが残り僅かという方は一度問い合わせをし、確認してみましょう。

世帯人数に適さない間取りであるケース

世帯人数と比較して極端に部屋数が多い場合や、持ち家が広い場合は、部屋を賃貸として貸し出すことにより賃料を得るように指導がおこなわれるケースがあります。

この場合、賃料を得ることを求められるだけであって、生活保護の受給ができないということではありません。

もちろん、得た収入分の受給額は減ることとなってしまいますが、持ち家を売却することなく要件を満たすことになります。

相続した不動産が老朽化しているケース

相続によって持ち家を手に入れた場合はどうなるのでしょうか。

現在の生活保護法では「資産がある場合には今までに支給された生活保護費は返還しなければならない」とされているため、持ち家を相続されても返還するお金に充てられて、手元にはお金が残らないこともあります。

そしてこの場合、受給の停止もしくは廃止をしなければなりません。

生活保護受給のために遺産相続の権利を放棄するという考え方をすることもできますが、生活保護のために遺産相続権利を放棄するということは許されていません

しかし、持ち家が老朽化している場合や維持費がかかりデメリットの大きい場合や、持ち家以外にその他負債を相続しなくてはならない場合は、生活保護の受給が可能なケースもあります。

番外編:リースバックを利用するケース

お金がないので持ち家を売却して且つ生活保護を受けたいと考える方は、リースバックという手段をとることで受給しながら以前の家へ住み続けることができるケースもあります。

資産として持ち家は失われてしまいますが、リースバックとは金融機関が認めれば売却後も賃貸契約を結び以前の家へ住み続けられる制度です。

一時的に収入が見込めないという方は、一度持ち家を売却してから賃貸として住み続けるリースバック制度の利用もあります。

まとめ

いかがでしたか?生活保護を受給するために持ち家を売却しなくても良いケースとして、以下を紹介しました。

・生活維持のために活用されている

・住宅ローンが残っていない

・賃貸物件として利用が可能

・処分価格が利用価値と比べて著しく大きい

持ち家を売却することなく、生活保護を受給できるケースは限られてしまいますが、売却をするのではなく、活用することによって受給できる場合もあります。

処分価格が大きい場合は、部屋の一部を賃貸として貸し出すことで要件に当てはまるケースもありますので、持ち家の売却を決める前に不動産会社や市役所等に相談してみましょう。

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