リースバック利用時の固定資産税は誰が払う?その関係性を詳しく解説

リースバック 固定資産税

住み慣れた我が家を売却し、引っ越しも不要という資金調達の方法が、最近になって利用者を増やしてきている「リースバック」。

何らかの理由で仕事ができず、住宅ローンの支払いが困難になったり、事業の運営資金が急に必要になったりしたときなど、リースバックを利用する理由はさまざまです。

持ち家だった家は賃貸借物件になり、家賃を支払うことで住み続けられますが「我が家を借りる」ことになった場合、固定資産税の支払いは一体どうなるのでしょうか?

リースバック利用時の固定資産税の支払い義務は誰にあるのか、そしてそれはいくらなのか、リースバックと固定資産税の関係を、固定資産税の詳細などと合わせて解説します。

固定資産税とは

リースバック 固定資産税

不動産を所有していると課税される固定資産税ですが、あまり詳しく知らないまま支払っている方もいることと思います。

それでは、改めてどんな税金なのかを見てみましょう。

固定資産税の使い道

固定資産税は普通税と呼ばれる「一般の経費に充てられる租税」で、実はその使い道が定められていない税なのです。

と言ってしまうと、とりあえず徴収されている税という印象を受けてしまいますが、生活の利便性のため、土地にまつわることだけでなく、介護や福祉など、他の行政サービスなどにも幅広く充てられています。

ある市区町村では「その場所で暮らしやすくするための道路や環境の整備を行政が行うことにより、その不動産は恩恵を受けていることになるので、その資産価値に応じた割合で税負担をお願いしている」と説明しています。

固定資産税の納税義務者

固定資産税は地方税で、その年の1月1日時点にその土地や建物を所有していた者に納税義務があり、納税先は自治体となります。

固定資産税課税台帳に登録されている方が所有者と認定されているので、例えば居住者がいなくても、別人が住んでいても、その所有者に納税義務があります。

固定資産税の計算方法

固定資産税額は、新築になると高いということを聞いたことがあると思いますが、一般的には1年間で10万~30万円と言われています。

そして総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて市区町村が計算し決定する「固定資産税評価額」によって、固定資産税額は変わります。

固定資産税額=固定資産税評価額×税率(1.4%)

固定資産評価基準は3年に1度見直し(評価替え)があり、それによって出された固定資産税評価額も地価の下落やさまざまな理由で上下するので、毎年変わる可能性があります。

税率の1.4%も標準税率ではあるものの、市区町村によって異なる場合があります。

固定資産税の支払い方法

年度初めの4月に各市区町村から納付書が届く固定資産税は、その税収入の中では約5割と、かなり大きな割合を占めています。

支払方法として一番多く選択されるのは、窓口での現金納付で、他には口座振替クレジットカードペイジーと、全部で4種類の支払い方法が選べます。

しかし、領収書と受領書が発行されるのは現金納付のみなので、必要な場合は市区町村税事務所や郵便局窓口での直接納付、コンビニエンスストアでの納付書での納付を選ぶことになります。

ちなみに、クレジットカードとペイジーは決済手数料が必要になるので、納税額以外の費用がかかります。

リースバックと固定資産税との関係

リースバック 固定資産税

持ち家を売却することで所有者が変わるリースバックですが、次はそのリースバックが固定資産税にどのような影響を及ぼすのか、その関係性を見てみます。

リースバック利用時の固定資産税は誰がいくら払う?

上述した通り、固定資産税はその年の1月1日にその持ち家を所有していた者に支払い義務があります。

例え1月2日にリースバックを利用することになり、その年はほぼ丸1年その物件を所有していなかったとしても、納税義務は免れません

しかしそれだと、実際固定資産税とはその物件の所有者が納税するものだという定義に反する、いわゆる不公平だということになります。

ですので、売主と買主でそれぞれ按分して固定資産税を負担することになるのが一般的です。

リースバック利用時の固定資産税の計算方法と支払方法

リースバックで持ち家の売却が決まったら、決済日(売却金の支払日)を基準にして日割り計算し、買主は決済日以降の固定資産税分を支払うことになります。

しかし前述したように、あくまでも納税義務はリースバックを利用した元所有者であり、その年の1月1日に持ち家を所有していた売主にあります。

ですので買主は、日割り計算して按分した買主負担の固定資産税分を、市区町村税事務所ではなく、リースバックで売買契約を取り交わした売主に対して支払います

売主は買主に支払われた分を自身の負担分と合わせて、その年の納税義務者として支払い翌年からは買主が固定資産税を負担する、という流れになるのです。

固定資産税の他にも注意するべき点

リースバック 固定資産税

固定資産税は以上のように、リースバック後の支払い義務は事実上なくなりますが、他にも注意しなければいけない費用があるなど、注意点があります。

固定資産税と合わせて、ここで確認しておきましょう。

固定資産税の他にも支払わなければならないもの

居住しているうちは改めて意識することはないのですが、実は持ち家を所有していることで負担を避けられないものは、固定資産税の他にもさまざまあります。

  • 火災保険料
  • 建物の維持・修繕費
  • 積立金や管理費(マンションなどの場合)

上記は持ち主である投資家や不動産会社に負担する義務が移るので、支払う義務はなくなります。

火災保険は忘れずに解約します。解約するタイミングによって、解約返戻金が受け取れる場合がありますが、逆に解約し忘れると、せっかく受け取れるものも受け取れなくなってしまいますので気を付けましょう。

設備等の修繕費についても、通常の売買契約であれば売却時にリフォームが必要な場合もありますが、リースバックの場合はそのまま賃貸借物件になるので、日常に支障がなければ特に直す必要もないのが一般的です。

そして普通に使用していて設備が故障した場合、所有権が移った後の修理義務は貸主にあります。

これだけ負担が軽くなる部分が多いところを見ると、住宅ローンの軽減でリースバックを利用する方が多い理由が分かります。

賃料に影響があるのは売却額だけではない

しかし実際、負担義務がなくなったといえど、貸主も売却額に対して元を取らなければいけないところですので、上記については賃料に多少含む形になっていると思います。

リースバックの家賃が相場に比べて高めと言われているのは、そういった理由も恐らく含まれています。

しかし、リースバックは売却価格をコントロールできるとも言われていて、賃料や買戻し価格を抑えるために、売却価格を低めに設定するなど、買主と相談してバランスよく契約を結ぶ売主もいます。

確かに賃料としては高めに感じる所もあるとは思いますが、それでも固定資産税だけでなく、こういった諸々の負担分を所有者としてまともに負担していた頃に比べれば、格段に支払いやすくはなるでしょう。

契約書でしっかりと確認が必要

忘れてはいけないのは、売主は、決済日を基準にして固定資産税を日割り計算した額を買主が支払う旨を、売買契約書にしっかりと明記してあるか確認することです。

そして、買主負担の固定資産税分を、受け取ったらなるべく早く納税に充てることです。うっかり払い忘れたりして延滞金が発生するなど、余計な費用がかかることがないように注意しましょう。

固定資産税だけでなく、火災保険加入の要不要売却時の設備の瑕疵や修繕範囲など、契約締結後に問題にならないように、費用がかかりそうな所は特に、契約書にどう記載されているかを確認・承諾していることがとても重要になります。

まとめ

リースバック利用時の固定資産税を、言われてみると誰が支払うのだろう?との疑問に対して詳しく解説しましたが、いかがでしたか?

リースバックは持ち家を売却後も住み続けることができるので、今まで意識していなかった部分が意外な盲点だったのではないでしょうか。

リースバックを利用すると、固定資産税を始め、確かに負担が軽減される点が多いので、そこにばかり目が行きやすいのは確かです。

しかしそんなに都合のいい処ばかりではありません。

賃料に対して必要以上に加算されていないか、契約書には不利な条件が明記されてはいないかなど、気を付けなければならない重要なポイントが実は沢山あります。

リースバック利用時の恩恵をしっかりと受けられるように、契約の際はその内容を、双方納得の上でしっかりと確認・把握しましょう。

この記事が、リースバック利用時の固定資産税の支払いを疑問に思う方の参考になれば幸いです。

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