リースバックで弁護士によく相談されるトラブル5選と回避方法を紹介
住宅ローンが返済できなくなった時、持ち家をリースバックで賃貸借契約にすることで競売のリスクを回避できます。
リースバックは住宅ローン債権者にとってとても助かる制度ですが、仕組みを十分に理解していない人が弁護士に相談するケースも少なくありません。
法律の専門家である弁護士ならあらゆるトラブルを解決できますが、調べれば分かることまで相談してしまうと無駄な費用が発生してしまいます。
そこでこの記事では、リースバックで弁護士によく相談されるトラブルと解決策をFAQで紹介し、皆さんの不安を解消していきます。
弁護士に相談する前に知っておきたいリースバックの仕組み
リースバックは、自宅を不動産会社に売却すると同時に賃貸借契約を結ぶことで、その後も家に住み続けられるサービスです。
中高年の人を中心に、「借金により住宅ローンを返済できない」「老後資金を確保したい」などの理由で活用されています。
自宅を活用した資金調達方法となりますが、間違った知識によりトラブルに発展するケースもあります。
まずは、リースバックの本質となる仕組みについて解説していきますので、弁護士に相談する前に目を通してみてください。
①自宅を不動産に売却して現金化できる
リースバックは、皆さんのご自宅を不動産会社に売却し、売却代金を現金で得ることが可能です。
この時、住宅ローンがまだ残っている場合は、売却代金をあてて完済されます。
売却価格は不動産会社によって多少差がありますが、通常の不動産売却の7割〜8割程度の相場になると想定しておきましょう。
②売却した自宅に賃貸借契約で住み続けられる
リースバックの最大のメリットとなるのが、売却後に不動産貸家と賃貸契約を結ぶことで、愛着のある自宅に住み続けられるという点です。
一般的に2年〜3年間の定期借家契約を結ぶ形になり、契約更新は借主の任意で行うか、貸主の任意で行うかのいずれかになります。
優良な不動産会社では、トラブルを回避する目的で、借主の任意で更新できるような契約内容になっています。貸主の任意で更新の有無が決まる契約内容では、トラブルに発展して弁護士に相談するケースがあるため、賃貸借契約内容には確実に目を通しておかなければなりません。
賃貸契約後は、毎月家賃を支払うことでこれまで通り同じ家に住み続けられます。
③契約内容によっては買い戻すこともできる
通常の不動産売却と異なり、リースバックなら売却後に買い戻しをすることが可能です。
例えば、一時的な困窮でやむなくリースバックをした場合、資金に余裕ができたタイミングで自宅の所有権を戻すことができます。
買い戻しが可能になるのは、売買契約時に買戻し特約を付けた場合となります。将来的に資金に余裕ができそうな場合は、買戻し特約を忘れずに付けましょう。
【FAQ】リースバックで弁護士によく相談されるトラブルと回避方法
リースバックは、将来の不安を取り除く資金調達方法として、数多くの人を救済しています。
不動産売却から賃貸契約に至るまでの流れは複雑ではありませんが、契約内容にはくれぐれも注意しなければなりません。
ここでは、リースバックで弁護士によく相談されるトラブルと、事前に回避する方法をご紹介していきますのでぜひ参考にしてください。
――ちゃんと家賃を払っているのに更新できないと通達された
「定期借家契約」を結んだ場合、リースバックした家に住み続けられる期間が定められています。定期借家契約は一般的に2年〜3年が契約期間となり、満期になると貸主の意思で契約更新ができないケースがあるのです。
トラブルを回避するには、賃貸借契約時に借主の意思で契約更新できる「普通借家契約」を希望しましょう。普通借家契約とは、マンションやアパートでよくある借主の意思で契約更新できる契約のことです。
基本的に定期借家契約で案内している不動産会社でも、交渉によって普通借家契約にできるケースがあると覚えておきましょう。
――リースバック後の家賃が高いような気がする
リースバック後に毎月支払う家賃は、その地域の相場で算出されるのではなく、家の売却額を元に計算されます。
【一般的なリースバック後の家賃の算出方法】
・1ヶ月分の家賃=[売却価格]×[7%〜13%]÷12ヶ月分
不動産会社や契約内容によっては、家賃が相場より高くなることも安くなることもあります。
できるだけ家賃を安くしたい場合、売却価格を下げる代わりに家賃も安くするといった交渉も可能です。しかし、売却価格を下げすぎると利用者にとってデメリットになります。そのため、複数社の不動産業者に相談し、ベストな選択肢を取ることをオススメします。
――契約更新時に家賃を上げられた
賃貸借契約後、まずは2年〜3年にわたって家賃を支払いながらこれまでの家に住み続けるのが一般的です。この契約期間中に家賃の変動はありませんが、契約更新時に家賃が引き上げられるケースがあります。
例えば、その地域の地価相場が急激に上がった場合などに、不動産の新たなオーナーが利回りを理由に家賃を引き上げたいと考えるからです。
契約時に「家賃は変わらない」と言われたにも関わらず、契約更新時に家賃を引き上げられたということにならないように、リースバックにおいて実績のある不動産会社を選ぶことは大事です。
――資金に余裕ができたのに買い戻しできないといわれた
リースバックの大きなメリットである家の買い戻しは、買戻し特約、もしくは再売買の予約を契約内容に含める必要があります。
買戻し特約とは、一定期間内に売買代金と契約費用などを貸主に返すことで、家の所有権を戻せる契約のことです。
一般的に買戻し特約が有効な期間は売却後から10年以内とされており、当初の売買代金+契約費用を超えない額が買い戻せる金額となります。
再売買の予約は、買戻しが有効な期間や金額を貸主と交渉して決められる契約で、買戻し特約よりも制約が少ないのがメリットです。ただし、毎月家賃は支払わなければなりません。
将来的に家を買い戻したい場合は、売買契約時に確実に「買戻し特約」か「再売買の予約」を付けるようにしましょう。
――リースバックの契約自体応じてもらえなかった
リースバックは、高額の住宅ローンを組むような審査の厳しさはありませんが、家の評価額次第で契約を断られるケースもあります。
住宅ローンが残っている状態でのリースバックは、現在の家の評価額がローン残債を上回らないと契約に至らないのです。つまり、ある程度の住宅ローンを返済した状態であれば契約できる可能性が高まります。
ただし、評価額と住宅ローンの残債の差額を現金で埋める、もしくは任意売却とリースバックを併用することで契約の条件を満たすこともできます。
共有名義の住宅で名義人全員の同意を得られなかったり、相続人と揉めてしまったりした場合にリースバックが困難になることもありますので、よく話し合った上で検討しましょう。
リースバックは弁護士に頼らずとも平穏に契約可能!
リースバックの仕組みをしっかり理解していれば、弁護士にお世話になる必要はありません。
大切な家を守り続けるために、リースバック契約時には以下の重要ポイントをおさえるようにしてください。
- 将来家を買い戻したい場合、契約時に買戻し特約か再売買の予約をする
- 住宅ローンの残債が多い場合は、リースバックできない可能性がある
- 評価額とローン残債の差額を任意売却や現金で埋めることもできる
- ずっと同じ家を借りていたい場合は、普通借家契約を希望する
- 相続人や共有の名義人と契約前にしっかり話し合っておく
- 実績のあるリースバック業者(不動産会社)を選ぶ
リースバックは、人生を共にするマイホームの存続に関わる大事な契約となります。不動産業者によってサービスの質も異なりますので、複数社へ相談することをオススメします。
契約時には、契約書などの書類の細かい部分までしっかりと目を通し、納得のいく契約内容だった場合に初めてサインすることを検討してください。
まとめ
リースバックは、住み慣れた愛着のある家を完全に手放すことなく、不動産売却で資金調達できる便利なサービスです。
ただし、契約内容を誤解していたり特約を付け忘れたりした人が、リースバック後に弁護士に悩みや不満を相談するケースがあるのです。
この記事で紹介したリースバックの仕組みや、トラブルの回避方法を把握しておけば、無駄に弁護士に相談する必要はなくなります。
リースバックを正しく利用すれば、現在の生活困窮や老後の生活の不安を解消できますので、まずは色んなリースバック業者のサービスを比較することから始めてみてはいかがでしょうか?