リースバックの転リースの仕組みとは?3つのメリットと注意点も紹介
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近年、新しい不動産投資手法や資金調達の手段として一般にも少しずつ浸透してきたリースバック。そのリースバックの手法を活用した転リースという方法があるのですが、一般ではあまり利用することがありません。
しかも、転リースと似たサブリースやマスターリースというシステムもあり、その区別は非常に難しくなっています。
本記事では、リースバックに対する理解を深めるために、知っておいて損はない転リースの仕組みと転リースのメリットと注意点をご紹介します!
リースバックの転リースとは
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コロナ渦や経済の低迷によってリースバックを検討している方が増えてきていますが、リースバックのことを調べていると、転リースという言葉も出てくることがあります。
しかし、転リースはあまり一般的ではないシステムのため、なんのことかわからないという方も多くいます。
実際のところ、転リースは一般的な不動産リースバックとの関係はそこまでない不動産運用システムです。しかし、知識として転リースのことを知っておくと良いでしょう。
リースバックの仕組み
最近耳にすることが増えてきたリースバックですが、このシステムは不動産売買と賃貸借契約が一体となった契約のことです。自宅を不動産会社や不動産投資家に売却し、その後その会社や投資家と賃貸借契約をします。
つまり、自宅を売却して現金化したあと、そのまま住み続けることができるということです。
では、リースバックはどのようなときに利用されるのでしょうか?
リースバックが利用されるケース
- 住宅ローンの返済ができなくなった
- 老後資金などの資金調達
- 相続の準備として
- 離婚したとき
ただし、当然ですが自宅が自分の持ち物ではなくなるため、家賃を支払う必要があり、何十年も住み続けたり買戻しできる保証がされているわけではないので注意が必要です。
転リースの仕組み
転リースとは、リースバックの契約の中の一種で、所有している不動産を最初から自分が住むのではなく、第三者に利用させるために、不動産会社や不動産投資家と契約を結ぶことです。
転リース後は、不動産の買主が賃貸人、もともとの所有者が賃借人、実際に不動産を利用する方が転貸人となります。つまり、もともとの所有者が第三者に又貸しをしているということです。
もともとの所有者は、買主に支払う家賃と大体同じ額か、もしくは利益が出るように上乗せした額を転リース料として設定して転リースします。
転リースとサブリースの違い
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冒頭で転リースと似たサブリースやマスターリースというシステムがあるとご紹介しましたが、転リースとの違いはなんなのでしょうか?
マスターリースとサブリースとはどのようなものなのか、転リースとの違いを解説していきます。
マスターリースとサブリース
まず、マスターリースとサブリースは、建物の所有者(賃貸人)から建物を借りている賃借人(転貸人)が第三者である転借人に対して転賃借を行う、いわゆる又貸しに関係しています。
この又貸しでは、通常の賃貸借では発生しない2つの契約が成立することになります。
まずマスターリースとは、建物の所有者(賃貸人)と建物を借りている賃借人(転貸人)との間の賃貸借契約のことをいいます。
そして、サブリースとは建物を借りている賃借人(転貸人)と第三者である転借人との間の転貸借契約のことです。
一般的にサブリースは不動産業界で行われている手法で、よくあるのが、管理会社がマンションなどを所有しているオーナーから賃貸物件を一括で借り上げ、第三者に賃貸するという例です。
サブリースには、空室保証サービスがついていることが多く、実際に入居者が入らなかった場合でも管理会社が家賃を負担して管理費などの経費を差し引いた金額をオーナーに支払われます。
そのため、オーナーは安定した収入を見込めるだけでなく、入居者との賃貸借契約やトラブルなども自分で行う必要がないため、負担が軽くなります。
サブリースを契約する際に管理会社に支払う手数料は大体家賃の10%~15%前後であることが多く、この手数料は必要経費として申告することができます。
転リースとサブリースは同じ?
よく転リースとサブリースは似ているため、同じだと思われがちですが、実は違うシステムです。
転リースは、物件のリースを受けてほとんど同一条件で第三者にリースします。そのときの契約物件は一括で借り上げることもあれば分割のこともあります。
一方サブリースは、物件のリースを一括で受けて転貸借します。このうち転貸借の部分は、法律上はいわゆるリースに限りませんが、会計上は全てリースに当てはまるものです。
つまり、サブリースは転リースのうち一括で物件のリースを受けるものということになるため、サブリースは転リースに含まれるという捉え方ができます。
転リースのメリットと注意点
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リースバックの転リースは、企業でよく使われる不動産運営システムですが、そのメリットとは一体なんなのでしょうか?
ここでは、転リースの3つのメリットと注意点をご紹介していきます。
転リースの3つのメリット
リースバックの転リースには大きく分けて3つのメリットが存在します。
ひとつ目のメリットは、現在すでに他の人にリースしている資産をもとにして資金を調達できることです。
一般的に、資金を調達したいときのやり方としては、もともと所有している資産を担保にして銀行などの金融機関から融資を受ける方法や、出資者を募集するなどの方法がありますが、これらの方法を利用することが財務上難しいこともあります。
しかし、そのようなときにも、リースバックの転リースのシステムを使うことで、自分がもともと所有している資産を売却しつつ、以前と同じように使用することが可能になります。
ふたつ目のメリットは、不動産を所有しているだけで支払うことになる、さまざまな負担を軽減できることです。
通常の不動産賃貸や機械設備などの物を貸す場合と、リースバックの転リースでの違いは、その対象となるものを自分が所有しているかどうかというところです。
一般的に、不動産を所有している場合、所有しているだけで固定資産税が発生し、数年間に一度は大規模な修繕を行ったりしなければならず、所有者にとっては重たい負担となってしまいます。
しかも、その不動産を所有していることで万が一不具合や事故などで関係のない第三者がなんらかの被害を受けてしまった場合には、民法上その不動産を所有している人が責任を負わなければなりません。
このような場合でも、リースバックの転リースを利用していれば避けられることがあるため、さまざまな企業で転リースが重宝されています。
みっつ目のメリットは、企業がリースバックを利用することでオフバランス化を図れることです。
オフバランスとは、資産や取引について、企業会計原則に基づいて作成された財務諸表の中のバランスシート、つまり賃借対象表に計上されない状態のことです。
オフバランス化することで、資産効率の改善などが期待できるため、近年オフバランス化を図る企業が増えてきています。
オフバランス化により資産規模を縮小することで収益性が高まり、金融機関や株主から見て財務分析に使われる指標の多くが改善されます。
その結果、企業価値を高めることにも繋がり、融資が受けやすくなったり、株価が上昇するきっかけにもなります。
転リースの注意点
冒頭でリースバックの転リースは、一般ではあまり利用することがないとご紹介しましたが、その理由は転リースは一般的なリースバック契約の中では禁止されているからです。
リースバックは、売却先である不動産業者や投資家との信頼関係のもとに成り立っています。もし、リースバックの転リースを利用したい場合は、売却先の承諾を得ることが必要となります。
万が一、不動産会社や投資家からリースバックを受けたあと、リース対象物件に自分が住む予定がないからと売却先に無断で第三者に転貸してしまうと、なんらかのペナルティーをかけられたり、最悪の場合にはリースバック契約は解除されてしまいます。
リースバック契約を解除されてしまうということは、今後その物件を利用することはできなくなるということです。
民法上でも転リースを利用する際には所有者(売却先である不動産会社や投資家)の承諾が必要と明記されています。
転リースは特殊な不動産取引ですので、もし転リースを利用したいときには所有者に目的や詳細な事情を説明して許可を得てからにしましょう。
まとめ
転リースの仕組みと転リースのメリットと注意点をご紹介しました。
リースバック契約をしたあと、自分がその物件を使用する予定がないという状況になれば、第三者に転貸して収益を得ようというのは誰でも到る発想ですし、誰でも利益を得たいと考えるものです。
しかし、転リースにもリースバックと同じようなリスクがあります。転リース物件の家賃も、リースバック同様市場価格よりも高く設定されているため、もしも転貸人が家賃を滞納してしまうとリース契約だけでなく転リース契約も自動的に解除されることになります。
さらに、転貸人によって物件になんらかの損害が生じた場合には、賃借人の責任も問われる可能性があるというリスクもあります。
もしもリースバックの転リースの利用を検討している場合には、そのようなリスクも十分理解したうえで取引を行うことが大切です。