家が競売にかけられてから立ち退きまでの流れと競売を回避する3つの対処法

家 競売 立ち退き

住宅ローンの返済が困難になり滞納が続いてしまうと、自宅などの不動産は債権者からの申し立てで裁判所を通じ強制的に売却されることになります。

事の重大さに気がついたときには、自宅が競売に掛けられることになってしまっていたという経験をされている方も多いのではないでしょうか。

競売は、一般的な市場相場よりも安い価格で売却され、更には競売の手続きに必要な費用も債務者の負担となります。

メリットの無い競売での売却を避けるために、競売とはどういうことなのかを前もって知っておくことが大切です。

この記事では、競売に掛けられてから立ち退きまでの流れと、競売を回避するための対処法についてご紹介します。

競売概要

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住宅ローンを滞納したからといってすぐに競売が開始される訳ではありませんが、気づいたときには競売が開始されていたというような事態を防ぐためには、競売について正しく理解しておく必要があります。

ここからは、競売の内容と立ち退きまでの流れについてご説明します。

競売とは

競売とは、債務者が月々の住宅ローンを返済することができなくなり滞納が続いたときに、債権者のローン回収の目的で不動産が強制的に売却されることです。

自宅などの不動産を購入する際、銀行などの金融機関で住宅ローンを組むことになりますが、そのときに金融機関は担保として抵当権を不動産に設定します。

抵当権とは、住宅ローンなどを借りる場合に購入する物件に対して金融機関が設定する権利のことで、債務者がローンの返済ができずに競売となった場合、債権者は競落代金から優先的に貸付金を返してもらうことができます。

住宅ローンの滞納が続き返済が困難と判断されると、債権者である金融機関はこの抵当権を駆使して裁判所に競売を申し立て、不動産を強制的に売却することで住宅ローンの回収を行います。

競売は、裁判所が競り売りの方式で購入者を決め、入札者の中で最も高値をつけた方に購入する権利が与えられます。

競売に掛けられてから立ち退きまでの流れ

住宅ローンを組んだ金融機関により多少時期が異なるものの、住宅ローンを滞納してから約3〜6ヶ月で競売の申し立てが行われます。

債権者から競売が申し立てされると、裁判所から担保不動産競売開始決定通知が届き、最終的には、強制執行により強制的に物件から追い出されてしまいます。

債権者が裁判所に競売の申し立てをしてから、立ち退きまでの流れは以下のようになります。

  1. 裁判所へ債権者が競売の申し立てを行う
  2. 差し押さえが登記される(不動産の売却や処分ができなくなります)
  3. 裁判所から債務者に「担保不動産競売開始決定通知」が送付される(競売申し立てが行われてから約10日〜2週間)
  4. 裁判所から執行官が来て現況調査が実施され売却基準価格が決定される(競売開始決定から1〜2ヶ月以内)
  5. 裁判所から債務者に対して「競売の期間入札の通知書」が送付される(執行官の訪問調査から2〜3ヶ月頃)
  6. 期間入札が公告されインターネット上に公開される(競売の期間入札通知書が送付されてから1ヶ月頃)
  7. 期間入札の開始(期間入札が公告されてから2週間〜1ヶ月頃)
  8. 開札期日を迎え落札者(最高価買受申出人)が決定される(入札が開始されてから約1週間〜1ヶ月以内)
  9. 売却許可の決定(落札者が決定してから約1週間)
  10. 不動産の落札代金が納付され買受人(落札者)に所有権が移転(売却許可決定から代金の納付期限は1ヶ月)
  11. 立ち退き(競売物件の代金が納付されてから約1ヶ月)

住宅ローンの滞納が始まってから、長くとも概ね1年程度で自宅を失うことになりますのでなるべく早い対処が必要となります。

競売を回避するために抑えるべきポイント

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一定の期間が過ぎてしまうと競売を避けることはできませんが、競売の申し立てが行われた後であっても時期によっては競売を回避することが可能です。

競売を回避するためのポイントになる時期についてご説明します。

担保不動産競売開始決定通知が届く

担保不動産競売開始決定通知とは、債務者の所有する不動産を競売に掛けることが決定した旨を知らせる通知で、競売の申し立てが行われてから約10日〜2週間程で裁判所から送付されます。

競売の取り下げは開札の前日まで可能ですが、それまでに任意売却などを成立させ債権者に承諾を取り、競売の取り下げ申請を行ってもらう必要があります。

競売を取り下げるためには時間が必要となりますので、なるべく有利な条件で競売を回避するために、担保不動産競売開始決定通知が届く頃までには対処するようにしましょう。

競売の期間入札の通知書が届く

裁判所の執行官による物件の現況調査後、早くて2ヶ月程で開札期日、入札期間、売却基準価格などが記載された競売の期間入札の通知書が裁判所から届けられます。

この時期になると、期限が迫っているため猶予がなく、有利な条件での競売回避は厳しいですがまだ不可能ではありません。

競売を避けたいが、未だ対処ができていないという場合は一刻も早く対処する必要があります。

期間入札の開始

競売を取り下げる期限は開札の前日までとなっていますが、入札者がいる場合は最高価買受申出人もしくは買受人及び次順位買受申出人の同意を得る必要があります。(民事執行法第76条)

そのため、現実的な期限は期間入札の開始の前日と考えておいた方が良いでしょう。

競売の取り下げは債権者が行うので、期限間際の状況では間に合いません。

担保不動産競売開始決定通知が自宅に届いてから、競売を回避するための最終的な期限までは約半年程の期間があるので、担保不動産競売開始決定通知が届いた時点で競売を回避するための対応を行うようにして下さい。

競売を回避する対処法

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競売の売却代金は住宅ローンの返済に充てられますが、残った残債はその後も支払っていく必要があります。

競売に必要な費用は債務者負担となり、遅延損害金などが更に上乗せされるため借金が膨らむ事態に陥ってしまう可能性もあり、競売にはメリットがありません。

競売に陥ってしまわないように、競売を回避するための対処法をご紹介します。

延滞分の返済を行う

競売は、滞った住宅ローンを回収する目的で債権者が裁判所に申し立てを行うため、ローンの残債が返済できれば競売を取り下げることができます。

住宅ローンを滞納している状況で残債を全て支払うのは困難であり、現実的な方法ではありませんが、住宅ローンを滞納して1〜2ヶ月以内であれば全ての残債を完済しなくとも、延滞分を返済することで競売を回避することが可能です。

急なリストラで住宅ローンを滞納してしまっていたが就職先が決まり資金調達が可能になったというような場合などでは、金融機関と連絡を取り合いながら優先的に延滞分を支払うことで競売を避けることができます。

個人再生

個人再生は借入金を5分の1程度に減額し、3〜5年程度をかけて毎月返済していく債務整理のことです。

個人再生は住宅ローン特則があり、住宅ローン以外の借金を減額して余剰を生み出し、住宅ローンは今まで通りの支払いを続ける条件で不動産を手元に残すことも可能です。

住宅ローンの滞納が一定期間続くと、保証会社が債権者に代位弁済を行い競売への手続きが始まりますが、代位弁済から6ヶ月以内に個人再生手続きを裁判所に申し立てることで、代位弁済自体を無かったこととし元々の債権者にローンを巻き戻すことができます。

個人再生を行うためには、将来的に継続した収入の見込みがあり債務の総額が5,000万円以下という条件があるので注意しましょう。

任意売却

任意売却は、住宅ローンが残っている状況でも債権者の合意を得て不動産を売却し住宅ローンの返済に充てる方法で、売却後に残債が残ってしまう場合でも売却が可能です。

任意売却は一般的な不動産売買と変わらないため、周辺の市場相場と同レベルの価格で売却することができ、競売よりも高額で売却できるケースがほとんどです。

また、新たな買主に対して、物件の明け渡し日や契約日など売却に関する希望を主張することが可能なため、仕事や子供の学校への影響も少なくて済みます。

競売の場合、引越し費用などは自分で支払う必要がありますが、任意売却では引越し費用の一部を不動産売却金額の中から控除してもらえる可能性が高く、金銭的な負担の軽減にもなります。

更に、任意売却後リースバックを利用することで引越しをすることなくそのまま自宅に住み続けることが可能で、将来的には自宅を買い戻すことも可能です。

競売の開札期日前日までに不動産売買が完了すれば競売を回避することができますが、任意売却の販売活動と競売手続きはほぼ同時進行で行われるため、なるべく早めに手続きを開始するようにして下さい。

任意売却の成功には専門的な交渉や知識が不可欠ですので、実績のある専門不動産業者などの専門家に依頼するようにしましょう。

まとめ

ここまで、競売に掛けられてから立ち退きまでの流れと、競売を回避するための対処法についてご紹介してきましたが如何でしたでしょうか。

住宅ローンの滞納が一定期間続くと、最終的には競売となり自宅を失うことになります。

不動産を売却するにしても競売よりも任意売却の方が圧倒的に条件が良く、リースバックを利用することでそのまま自宅に住み続けることも可能です。

なるべく良い条件で問題を解決するためには早い段階での行動が重要となりますので、早めに弁護士や司法書士、専門不動産業者などの専門家に相談を行い、条件の良い方法で住宅ローンの問題を解決に導きましょう。

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