リースバックでも退去は起こり得る!退去要件と回避方法をチェック

リースバック 退去

昨今、物件売却によって活用資金を得ながらも同物件を利用し続けられるという利点から、事業者や一般の方でも広く”リースバック”が活用されるようになってきています。

手続きが一通り済んだ後には、物件を継続して利用することが基本的に可能となっている仕組みのリースバックですが、場合によっては退去を迫られる事態に陥ることもあります。

退去を求められる要件には、リースバック手続き時に交わした契約の履行違反などが挙げられますが、新たな生活拠点を見つけるには労力が必要であり、簡単なことではありません。

また一方で、契約の種類によってはリースバック利用者自身の申し出による退去も可能となっており、そのような場合には退去に向けたポイントを抑えていく必要があります。

この記事では、リースバックの概要や手続きを抑えた後に、各種の契約と照らし合わせた退去要件や、退去の方法、退去を回避するため・退去に向けたポイントに関して、ご説明していきますので、ぜひ最後までご覧になってください。

リースバックとは

リースバック 退去

リースバックとは、物件の売却手続き(売却契約)と同時に、物件の買主との間で賃貸借契約も併せて行う手続きのことを表しています。

広く、不動産物件に対して活用されている方法であり、事業者の方にとっては速やかな事業用資金の調達を実現するため・未活用物件を有効的に活用するため(※)に、一般の方にとっては生活資金を得るとともに以前と変わりない生活を続けるために、という理由が主であるといえます。

また、事業者の方の中には企業で保有している社用車に対してリースバックを利用するケースもあります。

これらリースバックの最大の利点は、冒頭でも触れたように、売却によって自由資金を得るだけでなく、売却後にも売却物を貸借物として利用し続けられる点にあります。

※リースバックに関する情報は売却主・借主(同物件を利用し続ける側)の観点から話されることが多いですが、後者の目的に関してはリースバックを活用して売却資金を得るだけでなく他者に物件を貸し出すことで未活用物件の有効化を図っています。

リースバック時の手続き

リースバックを利用する際の主な手順としては以下のように進んでいきます。実際にリースバックを利用する際の事前知識として抑えていてもらえれば幸いです。

  1. リースバックを扱っている専門業者への申請
  2. リースバック専門業者による売却物の査定
  3. (査定額や各種の契約に記される事項に満足する場合には)売買契約・賃貸借契約の締結
  4. 賃貸借契約の記入事項に基づく売却物件の賃貸借利用

各種の手続きの詳細や、申込・契約時などに必要となる関係書類に関しては、以下の記事にて詳しくご説明していますので、お時間の許す際にはぜひそちらもご覧になってみてください。

『リースバック契約書の内容を紹介!売買・賃貸借契約書の詳細チェック』【マイホームまもり隊_公式】

リースバックの契約各種と退去要件

リースバック 退去

次に、リースバックの手続きにおける各種契約の詳細と、それに照らし合わせて発生する可能性のある退去要件に関してご説明していきます。

売買契約

まずはじめに売買契約から確認していきましょう。

売買契約書に記される主な記入事項は以下のものが挙げられます。

  • 売却物の詳細(不動産物件の場合には住所や面積など、車両の場合には車種や走行距離など)
  • 売却額(手付金の金額)
  • 売却代金の支払い方法
  • 売却物の設備や備品の概要(不動産物件の場合には駐車場やエアコン、キッチン・洗面台・お風呂など住居内の設備が該当します)
  • (リースバック実施後に再度、買取を予定する場合には)買い取り代金

”リースバック物件の退去”に大きく関係するのは後述する賃貸借契約であるといえますが、売却物を買い戻す場合には売買契約書にその旨を記す必要があることを理解しておきましょう。この際に買い戻しに関する旨を記載していなかった場合には、買い戻しの手続きではなく再度の売買契約を締結する必要が出てきますので注意が必要です。

賃貸借契約

次に、賃貸借契約に関して見てみましょう。

賃貸借契約書に記される主な記入事項は以下のものが挙げられます。

  • 売却物の詳細(売買契約書に記すものと同一)
  • 賃貸借利用の契約期間
  • 賃貸借利用における賃料
  • 敷金・礼金(リースバックを扱う不動産会社によって考え方が異なる部分であり、場合によってはこれらの金銭が発生しないこともあります)
  • 貸主及び管理業者の概要

リースバック物件(正式には賃貸物件)の利用期間の中で退去を迫られる多くの可能性としては、賃料の未払いをはじめとした賃貸借契約違反が挙げられます。賃貸借契約を実際に行う際には、自身が契約を遵守し続けられる内容となっているかどうかをきちんと確認したうえで進めるようにしましょう。

退去に関わる各種のポイント

リースバック 退去

最後に、退去に関わる各種のポイントについて見ていきましょう。上記にて説明した、契約違反によって退去に迫られることはもちろんですが、それ以外にも退去せざるを得ない状況になるパターンが存在します。まずはこれらのケースを確認してみましょう。

そして、その次にそれぞれのパターンに対する退去の回避方法を確認していきましょう。

リースバック利用期間において退去が発生するケース

リースバック契約を結び、実際にリースバック物件を利用している期間中に退去を迫られる事態となるケースとしては以下のものが挙げられます。

  • 家賃の滞納、契約書に記載されていなかった物件の利用などの賃貸借契約違反
  • 賃貸借契約内容の変更
  • 第三者へのリースバック物件の販売(貸主の変更)
  • 賃貸借契約の期限が来た(契約の更新期に伴う契約終了)
  • 借主の死亡

それぞれに関して確認してみましょう。

賃貸借契約違反

賃貸借契約の違反によって退去を迫られるケースは、リースバックだけでなく、すべての物件であてはまることです。契約違反を行ったため直ちに退去を迫られるというわけではなく、基本的には滞納している家賃の督促や物件の利用方法に関する注意・指示などを行い、それでも違反が続いた場合に退去要件を満たすこととなります。

賃貸借契約内容の変更

貸主やリースバックを請け負った専門業者の都合によって契約内容が変更されることがあります。これによって賃貸借契約の更新ができなくなり、退去を迫られることとなる場合があります。

物件の賃貸借契約における次回の更新までの期間、契約内容の変更を行わないといった事前の特約を契約書に記載しておかなければ、買い手(貸主)都合の契約内容への変更、退去となることもあるため注意が必要です。

貸主の変更

上記、賃貸借契約の内容の変更と関わりの深いものですが、貸主が変わることによって契約内容が更新され、退去を迫られてしまうことがあります。また、リースバックを請け負った専門業者が倒産し、物件が競売に掛けられた結果として貸主が変わってしまうこともあります。

賃貸借契約期間の満了

賃貸借契約は契約期間の満了によって退去する必要が発生しますが、契約期間を更新することも可能となっています。しかしながら、賃貸借契約には”定期賃貸借契約”という契約手法があり、これは予め賃貸借利用期間を定めた契約を行い、後の更新を行なわないという内容のものとなっています。

また、もう1種の契約手法である”普通賃貸借契約”であっても、契約の更新回数の上限が定められていることもあります。

このようなケースがあるため、賃貸借契約を結ぶ際には、契約内容の詳細に関しても確認するようにしましょう。

借主の死亡

リースバック契約を結んだ契約主(借主)が死亡した場合、その親族がそのまま家に住むことができずに退去となるケースがあります。

退去を回避するために

退去を迫られる事態となるケースを確認できたところで、次にそのような際の回避方法に関して確認していきましょう。主な回避方法には以下のものが挙げられます。

  • 無理なく支払い続けられる家賃を設定する
  • 第三者への売却について確認する
  • 普通賃貸借契約で契約する
  • 信頼のおける業者であるかを選別する

上記に示した回避方法の多くが、賃貸借契約を結ぶまでの手続き(契約内容の相談や合意、最終的な契約内容の確認など)で取り組むべきこととなります。また一方で、4つ目に示した信頼性のある業者の選別をきちんと行わなければ、他の回避方法を行うことも難しくなります。それぞれに関して詳しく見ていきましょう。

無理のない家賃設定

契約主自身の事情によって退去要件が満たされてしまうその多くが、家賃などの滞納によるものです。契約内容を決定していくプロセスでは、無理なく支払える家賃がどれくらいであるかを、今後の家計を鑑みて事前に確認しておくようにしましょう。

第三者への売却に関する確認

リースバックを請け負う業者が、リースバック物件を第三者へと売却する可能性があるかを確認するようにしましょう。これらの対応は業者ごとにさまざまであり、悪質な業者ともなると事前の通達もないままに勝手に売却することもあります。

これらを防ぐために有効な方法としては、賃貸借契約書に特約として”リースバックによる賃貸借契約期間中における第三者への物件の売却を禁ずる”旨を記載することが挙げられます。

普通賃貸借契約による契約

上記にて確認したように、賃貸借契約には2種の方法があり、定期賃貸借契約では契約期間の満了をもって更新が行われないようになっています。これまで住み続けてきた家で今後も長く生活を送るためには、それらの期限が定められない普通賃貸借契約での契約が望ましいといえます。

適切な業者の選別

リースバックを請け負っている専門業者の中には、悪質な方法を利用する者も存在するかも知れません。業者のサービスの質はもちろん、経営状況も確認しておきましょう。リースバック契約中に倒産してしまうリスクがあるためです。

このような面で信頼のおける業者を選別する効果は大きく、また、ご自身が信頼できる業者であれば契約内容やリースバック期間中における各種の相談事も行いやすいかと思います。長い付き合いの持てる業者との契約を意識していきましょう。

まとめ

物件の売却後にも利用し続けられるという利点に注目が集まるリースバックですが、リースバック契約を結ぶまでの各種の手続き・契約書類の詳細をきちんと確認しなければ、長く利用し続けられる(住み続けられる)ことも叶わなくなります。

これからも長く住んでいけると想定していたものの、急な退去の要請が行われたとなると、心的な負担ももちろんですが、現実的に新たに引っ越し費用が発生することともなります。

これらの事態を回避するためには契約の際の確認や、契約書への記載内容や特約の設定などの相談を密に行うことが何よりも重要となります。この記事がリースバックをご検討されている多くの方のお力となれば幸いです。

電話無料相談はこちら

03-6890-2573

受付時間 9時〜19時 (土日祝も対応中)

リースバックに関する最新記事

無料一括査定