リースバックのリスクは避けられる?問題点の捉え方と解決法を考える
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不安定な世界情勢と、日本の慢性的な不景気が、お金の流れを滞らせています。
その影響で、住宅ローンなどの大きな支払いに、生活が多大な打撃を受けてしまい、悩んでいる人が増えているのが現状です。
そんな昨今、引っ越すことなく自宅を売却し、月々の支払いを軽減できるメリットがある「リースバック」に人気が集まっています。
専門業者も増えてきたリースバックですが、メリットばかりではなく、どんなリスクがあるのかも理解しておかないと、利用に失敗する可能性もあるのです。
ここでは、なかなか語られることのないリースバックのリスクを挙げて、そのリスクの正体をきちんと見極め、問題点の解決法を考えてみたいと思います。
リースバックのリスク
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リースバックのリスクやデメリットは、意外と少なくありません。
- 売却価格が相場よりも安い
- 家賃設定が周辺の相場より高い
- 定期借家契約が一般的
- 買い戻し額が売却額より高い
- 審査がある
- 手数料がかかる
- リースバック業者の倒産
- 相続のトラブル
それでは、ひとつずつ詳しく見ていきます。
売却価格が相場よりも安い
通常の不動産売却の場合、買主が自分で物件を利用したり、できるだけ高い価格で他の人に売ったり貸したりが可能です。
しかしリースバックは、元々住んでいる売主が、売却後も賃貸料を払いながらその家に住み続け、数年後には買い戻すこともできる「再売買予約権」を付けられるという、買主にとっては制約の多い取引になります。
買取のメリットを制限されるので、売却価格が安くなってしまうのです。
リースバック利用時の売却価格は、通常は相場の7~8割と言われています。
家賃設定が周辺の相場より高い
リースバック利用時の家賃設定は、周辺の賃貸物件と比べると高い傾向があります。
一般的には、売却価格の8~10%ほどです。
リースバックにおいて家賃を計算する時、一般的に買主が支払った買取額を10年で回収する前提で決定します。
例えば、古くなった家を1,000万円で売ったとします。
買主がそれを10年で回収するには、1年で100万円の家賃を設定することになるので、ひと月約83,000円ほどになります
通常の賃貸の家賃であれば、築年数が古かったり、駅から遠かったりと、周辺の環境や条件を考慮して家賃を安く抑えることも可能ですが、リースバックの場合は売却価格を基準に家賃を計算して元をとる必要があるので、相場より高くなってしまうのです。
定期借家契約が一般的
賃貸物件の契約の方法として「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類がありますが、リースバック利用時においては定期借家契約が一般的です。
普通借家契約と違い、定期借家契約は2~3年毎に更新が必要な契約であり、貸主の都合で更新を拒否したり解約したりが可能なので、長く借りたい場合は注意が必要です。
家賃の値上がりや更新回数などについても、契約時に希望を伝え必要ならば交渉し、希望の内容になるべく近づけるのが大切です。
買い戻し額が売却額より高い
リースバックを利用して家を賃貸にする際、「買戻し条項」が盛り込まれた契約書を交わすことになります。
しかし、買主も慈善事業ではないので、元の売却価格よりも大体1.1~1.3倍程度高く設定してくることになりますが、不動産価格は上昇したり下落したりするものなので、下落時に買い戻すとなると、価格を高く設定されて損をするおそれがあります。
そして、契約の際に買戻し時の条件をしっかり確認して契約しておかないと、聞いていた買戻し価格より実際の買戻し価格の方が高くなってしまう場合もありますので、注意が必要です。
審査がある
リースバック利用時には、家の状態と、立地条件の審査があります。
借主が売却価格の元をとれるだけの期間、住み続けることができれば問題はありませんが、何らかの理由で退去した場合、その後も売却したり賃貸物件として利用したりできなければ損をしてしまうからです。
居住に差し支えるほど古かったり、借り手がないほどの僻地だったりすると、審査が通らない可能性もあります。
手数料がかかる
リースバックとは、不動産の売却と、その不動産を借りるという、2つの契約を結ぶことで成り立ちます。
そのため、通常の物件売却と同様に仲介手数料などが、賃貸契約と同様に敷金礼金や保証料が、それぞれかかることになります。
通常の売却と比べるとリースバックは現金化が早いので、その辺の心配は無用かもしれませんが、まとまった資金が必要でリースバックを利用するのであれば、そういった諸費用に対しても売却金が流れていくことを念頭に置いておかなくてはいけません。
リースバック業者の倒産
リースバック利用時の定期借家契約においては、貸主の承諾があれば延長は何年でも可能です。
しかし、貸主がリースバック業者の場合、その会社が倒産してしまうと、債権回収のために売却されてしまったり、持ち主が変わってしまえば今まで通りの条件で住み続けられなくなったりする可能性も出てきます。
相続のトラブル
リースバックを利用すると売却後もそこに住み続けることができるため、周辺住民や例え親族でも、何も知らされていなければ家を売却したことには気付きません。
家族が家の相続をあてにしていた場合は、家の所有権が他人に移ったことを知らされずにいると、のちのちトラブルになります。
相続税が心配でリースバックを利用する人も多いですが、前もってしっかりと家族に相談していない場合、家族のことを思ってしたことが裏目に出てしまいます。
リースバックのリスクは3つに分けて考える
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リースバックのリスクを挙げてみましたが、全く解決できないというわけではありません。
対策を考えてみます。
売却価格を安くすると解決できるリスク
確かにリースバックを利用すると売却価格の相場が思った以上に安いですが、高く売ってしまうと、後の買戻し額が高くなったり、売却価格を基準に計算する家賃が高くなってしまったりして、せっかくのリースバックのメリットを活かすことができなくなります。
デメリットと思われるリースバック時の売却価格の安さですが、実はデメリットを解消するメリットでもあるのです。
審査や諸経費がかかるリスク
リースバックで取り扱う物件は、借主が借りられなくなった後の対策として、立地条件や築年数などの家の状態が審査対象になります。加えて、諸経費もかかります。
しかし、家を普通に売る場合も諸経費はかかりますし、そもそも審査や諸経費は、リスクというより義務です。
リースバックの審査においては、通れば今度は固定資産税や維持費などを負担する必要はなくなるので、相殺できるリスクといえるでしょう。
業者倒産のリスク
賃貸契約を結んでいる業者が倒産してしまうと、それまでの通りには居住できない場合も出てきますが、とはいうものの業者の倒産は借主として避けられるものではありません。
しかし業者を選ぶ段階で、相談したり査定を依頼したりという作業を怠らなければ、安定した経営が出来ている業者、信頼できる業者を見極めることができ、前もって避けることができるリスクだといえます。
まとめ
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リースバックのリスクや問題点の捉え方、解決法をいくつか挙げてみましたが、いかがでしたか?
こうして並べてみると、大事なポイントさえ抑えれば、さほど問題ではないことが分かるはずです。
そしてリースバック利用に限らない、避けなければならないリスクが見えてきませんか?
相続はひとりで決めない
額の大きなものを売買するとなると、やはり自分ひとりの話では済まないものです。
単純な「もの」ではなく「財産」なのですから、理由も含めきちんと家族や親族に相談して、わだかまりを遺さないようにすることは、踏むべき大切な順序です。
そして、本当に家を売ることが最善なのか、色んな意見を聞けるのも、その家にまつわる人たちだからこそですので、決してひとりで決めないことです。
契約内容をしっかりと検討・確認する
売却価格ばかりが気になってしまう所為で、その後の賃貸契約の条件や、買戻しのときの条件などが、ちゃんと検討されないうちに判を押すことになるのかもしれません。
しかし、売却後の身の振りを決める大事な交渉どころだということを、しっかりと自覚した上で条件を確認し、あとになって「話が違う」とならないように、契約に臨みましょう。
確かに、小さな文字でずらっと書かれているものを隅々と読むのは大変ですが、慣れ親しんだ大切な家に対してできる最後の手続きだと思って、しっかりと確認しましょう。
リースバック業者をしっかりと選ぶ
リースバック利用において、一番重要なポイントは業者選びです。
経験豊富な実績がある安定感か、逆に他との差別化を図る新規参入のサービスの充実か、こちらの希望を親身になって聞いてくれるか、とにかく査定額が高い方がいいのか。
重点を置くポイントは人によってそれぞれだと思いますが、その業者をしっかりと選ぶことが、リースバック利用時の肝になります。
納得のいく選択ができるまで、何社でもあたりましょう。
この記事が、リースバックのリスクを解決したい人の参考になれば幸いです。