リバースモーゲージとリースバック【2つの特徴から違いを確認】

昨今、不動産の分野で注目を集めている「リバースモーゲージ」と「リースバック」。これらの言葉を耳にしたことはあるけど、実際にはどのようなものなのかを知らないという方は案外多いのではないでしょうか？

この記事では、リバースモーゲージとリースバックのそれぞれがどのようなものであるのか、その概要を説明するとともに、それぞれがどのような人にとってオススメなのか、利用することで得られるメリットと利用する前に考慮しなければならないデメリットに関してご紹介しています。

この記事を通してリバースモーゲージとリースバックがどのようなものなのかをご理解いただければと思います。ぜひご一読ください。

今話題のリバースモーゲージとリースバックとは？

ここではリバースモーゲージとリースバックの概要に関してご説明していきます。先に述べておくと、この2つの仕組みの大きな違いにはご自身が所有している不動産を売却するのか否かという部分にあります。概要の説明を通じてそれぞれの全体像を見ていきましょう。

リバースモーゲージの解説

リバースモーゲージとは、所有する不動産を担保として融資を可能上限額まで行い、リバースモーゲージ申請者の死亡時に、担保としていた不動産の売却代金を返済金として一括で返済する方法が採られる融資手続きを指しています。

皆さんが住宅を購入する際や、マイホームを建てる際に利用するもので聞き馴染みがあるのは「住宅ローン・不動産担保ローン」なのではないでしょうか？

リバースモーゲージもこれらのローンと同じように不動産を担保として融資を受けることに変わりはないのですが、融資の受け取り方法、融資の返済方法に大きな違いがあります。

融資の受け取り方法に関しては、住宅ローンを利用する際には住宅購入や住宅建設のために利用するため、まとまった資金を一括で借り入れるかと思いますが、リバースモーゲージの場合には融資可能上限額を定め、その額の間であれば一括で受け取ることも、月々といった形で受け取ることも可能となっています。

返済方法に関しては前述したとおり、リバースモーゲージの場合には申請者の死亡時に担保不動産の売却をもって一括で返済が行われます。住宅ローンなどの場合には月々で返済していくという形が一般的ですので違いが分かるかと思います。

リースバックの解説

リースバックとは、売買契約と賃貸借契約が一体となった売却手続きを指しています。

リバースモーゲージとの比較を確認するためですが、リースバックでは「不動産の売却」が行われます。リバースモーゲージは不動産を担保として融資を受けているだけであるため、不動産を手放したわけではありませんよね？

一般的に不動産を売却する際には、売買契約を買主との間で行い、所有している不動産を買主へと引き渡せば終了となります。

しかしながら、リースバックの場合には新たな買主との間で賃貸借契約も併せて行うことで、不動産は売却するものの、今後は売却した不動産を賃貸物件として利用し続けることができるようになります。

このように売買契約と賃貸借契約を新たな買主との間で行うことで、所有していた不動産を売却しつつも賃貸物件として使い続けることができるようにした仕組みがリースバックなのです。

リバースモーゲージとリースバックは誰にとってオススメ？

リバースモーゲージとリースバックの仕組みをご理解頂けたかと思いますが、次に確認していくのは、それぞれがどのような人にオススメなのかです。実際に検討をする際にはご自身の状況に照らし合わせながら考えてみてもらえればと思います。

リバースモーゲージがオススメなのはこんな人

リバースモーゲージがオススメされるのは以下のような人になります。

• 亡くなった後に所有している住宅をどのように処分すれば良いのか分からずお困りの方
• 老後の生活資金や医療・介護費用を備えたい方
• 老人ホームへの入居一時金を捻出したい方

リバースモーゲージは返済が申請者の死亡時の担保不動産の売却代金をもとに行われるようになっているため、オススメをする前提として、お年を重ねられた方が利用できる仕組みであるということにご注意ください(申請条件にも65歳以上といった年齢制限が設けられているのが一般的です)。

この前提を踏まえたうえで高齢者の方に多い悩みが「所有している不動産を亡くなった後にどのように処分すればいいのか」だと思います。また、老後の生活を控えている方にとっては生活資金などをどのように準備すればいいのかも不安かと思います。

リバースモーゲージでは、亡くなった後に申請を行った不動産専門業者が不動産の買取を行ってくれるため、亡くなった後の不動産の処分方法に悩む必要がなくなります。

また、リバースモーゲージの場合には担保としている不動産価値に応じた融資可能上限額を定め、その上限額に達するまで融資を受けられ、受け取り方も一括や月々など選択が可能となっています。

老後の年金のみでは生活が不安である方や、老人ホームに入居するための資金をどのように備えればいいかお悩みの方にもオススメです。

リースバックがオススメなのはこんな人

リースバックがオススメされるのは以下のような人になります。

• ローン一括返済などのためにまとまった資金を用意したい方
• 不動産売却後もこれまでと同じ生活を送りたい方
• 将来的には売却不動産を買い戻して生活されたい方

リースバックは売買契約と賃貸借契約を一体で行うため、「不動産を売却してまとまった資金を手にしつつも、これまでと同じ生活を実現できる」という特徴があります。

住宅ローンの返済が滞ってしまい所有している不動産が競売に掛けられそうになっている方などは、リースバックによる売却資金をローンの返済額に充てることができるためオススメであると言えます。

また、まとまった資金が必要になる場面はローンの返済以外にもあるかと思いますが、資金を手にしつつ、これまでと同じ自宅に住まわれたい方という方にもオススメです。

更に、リースバックの売買契約時には売却不動産を買い戻す際の条件などを設定することができます(買主は売主からの買戻し申請があった際には契約時の条件に基づいて従う必要があります)。ローン返済のために一度は手放すにしても再度、買戻しを検討したい方にとってもオススメな方法です。

2つのメリット・デメリットをチェックしよう

最後にご紹介するのはリバースモーゲージとリースバックのメリットとデメリットに関してです。ついついメリットに目が向いてしまうかと思いますが、デメリットがあることにも十分注意して検討されてみて下さい。

リバースモーゲージのメリットとデメリット

リバースモーゲージのメリットは高齢者特有の悩みに柔軟に対応している点、デメリットには融資可能上限額に基づいた融資であるために発生してしまう点に特徴があります。それぞれに関して見ていきましょう。

メリット1：融資返済に関する毎月の返済は利息分のみである

一般的な融資である住宅ローンの場合には、月々の返済は元金分と利息分から構成されます。一方でリバースモーゲージの場合には、元金分の返済は死亡時に行われるため、月々の支出は利息分のみに抑えることができるようになっています。

年金に加えて融資を受けられるため収入に関する不安を小さくできるのはもちろん、支出に関する心配も小さくできるのは大きなメリットであると言えます。

メリット2：申請者死亡後の配偶者の居住リスクを回避できる

リバースモーゲージ自体は申請者の死亡をもって返済が行われますが、死亡時に契約を配偶者へと引き継げるようにしてある金融機関は多くあるため、残された配偶者の将来の生活も支えることができます。

デメリット：融資可能上限額の見直しがされる可能性がある

リバースモーゲージは不動産の価値を査定して融資可能上限額を定めるため、不動産の価値が下がるようなことがあると上限額の見直しが行われ、今までの融資額が上限額を上回るようなことになると借入金の返済を迫られる場合もあります。

リースバックのメリットとデメリット

リースバックのメリットは所有物件から賃貸物件に移行することで得られるようになる点、デメリットは賃貸利用であるために発生し得る点に特徴があります。

メリット1：これまで発生していた不動産に関する支出を賃料に固定化できる

不動産の修繕費や保険料など不動産に関する支出は多岐に亘りますが、リースバックの場合にはこれらの費用を賃料として固定化することができます。

メリット2：不動産所有によって抱えていたリスクを回避することができる

不動産を所有していると価値の下落が起きてしまうことや、災害によって不動産の損失、修繕費用の発生に至るということもあるかと思いますが、これらのリスクは新たな所有者へと移すことができます。

デメリット：賃貸借契約によっては不動産退去を迫られる場合がある

賃貸借契約には定期賃貸借契約というものがあり、この契約が行われた場合には一般的に貸借期間を2～3年と定められます。貸借期間満了が近づいてくると貸主から退去手続きの事前案内が行われるようになるため、賃貸借契約時には買主(貸主)と協議を図るようにしておきましょう。

まとめ

ここまで、リバースモーゲージとリースバックの概要や、どのような人に向いているのか、それぞれのメリットとデメリットをご紹介してきましたが、それぞれの特徴から2つの違いがどこにあるのかご理解頂けたでしょうか？

冒頭にて、大きな違いに不動産を売却しているのか否かということが挙げられるとお伝えしましたが、それぞれの全体像を掴めたら、その先の違いに関しては発見しやすかったのではないでしょうか？

この記事を通して、もしもの際にリバースモーゲージやリースバックを前向きに検討できるようになって頂けると嬉しい限りです。