リースバックとリバースモーゲージの3つの違いと選ぶ人の特徴
世界的に流行している新型コロナウイルスの影響も大きく、老後資金について不安な想いを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか？
リースバックとリバースモーゲージと呼ばれる資金調達方法は、今あるライフスタイルを変えることなく、老後資金を獲得できる手段として注目を浴びています。
この記事では、リースバックとリバースモーゲージの利用条件、仕組みやメリット、両者の代表的な違いと選択する人の特徴を比較してご紹介します。
老後資金に不安がある方、資金を確保できる情報を知っておきたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
リースバックとリバースモーゲージについて
リースバックとリバースモーゲージは、両者とも現在住んでいる自宅で暮らしを継続しながら、老後資金を得ることができるサービスです。
リースバックは、「自宅を売却した資金を現金で受け取り、売却後は賃貸契約を結ぶ方法」です。一方のリバースモーゲージは、「自宅を担保することで、お金を借り入れして融資を受ける方法」です。
どちらも老後資金を獲得することができるサービスではありますが、最初にリースバックとリバースモーゲージの仕組みとメリットデメリットついてご紹介します。
リースバックの仕組み
リースバックとは、売却と賃貸を組み合わせた一般的な不動産の取り引きが基本になるシンプルな仕組みのサービスです。
自宅等を売却した資金を、一括で取得することができ、その後は、賃貸契約を結び、毎月家賃の支払いをすることで、継続して住み続けることができます。
マンションや事務所など自宅以外も、対象不動産になるため、従来では、法人向けに活用されることが多くありましたが、ここ数年で個人を対象にする企業が年々増加し、知名度が上がっています。
リバースモーゲージの仕組み
リバースモーゲージとは、銀行や金融機関から融資を受けるサービスです。
自宅を金融機関へ担保し、自宅の資産価値に応じて「融資上限額」が決まります。その後、金融機関から融資を受けることができます。
自宅を売却することになるケースは、契約者が亡くなられたタイミングもしくは契約が満期を迎えたときで、その際に建物や土地を売却した資金で、一括返済する仕組みです。
年金制度の見直しや少子高齢化などの問題から、シニア層の生活資金などに活用されています。
両者のメリットとデメリット
リースバックとリバースモーゲージのどちらを利用するべきか？ここではメリットとデメリットを比較して紹介します。
《リースバックのメリット》
- マンション・事務所・店舗など自宅以外も対象不動産である
- 資金の用途の制約がないため、契約者の希望通りの用途として活用できる
- 資金を一括で受け取ることができる
《リースバックのデメリット》
- 契約完了後直ちに所有権が移転してしまう
- 建物の管理状況によって契約ができない場合もある
《リバースモーゲージのメリット》
- サービスの利用期間中は、利息の支払いのみ
- キャッシュフローがシンプルで、心理的負担が少ない
- 銀行や金融機関への信頼から安心して利用できる
《リバースモーゲージのデメリット》
- 資金の用途が限定されてしまう
- 同居人や相続人によって適用されないことがある
- 対象となる不動産は、原則住んでいる自宅のみ
- 適用地域が都市圏に限定されてしまう
ご紹介した両者のメリットとデメリットは、一般的なものです。
金融機関や不動産などサービスを提供する会社によって異なる部分もあります。
気になる点や不安な点があれば、サービスを提供している会社に、詳細の確認や相談をしてから検討しましょう。
リースバックとリバースモーゲージの代表的な3つの違い
リースバックとリバースモーゲージはどちらも、老後の安心した生活に欠かせない資金を得ることができますが、両者の違いは何なのでしょうか。
続いては、リースバックとリバースモーゲージの代表的な違いを3つご紹介します。
不動産取引か、融資を受ける金融商品なのか
リースバックは「不動産の取引」で、リバースモーゲージは「融資の受け取りをベースにした金融商品」であることが、最大の違いです。
サービスを提供する会社との「賃貸と売却を合わせた不動産取引」を行うリースバックは、自宅等を売買したときに、所有権が移転しますが、移転後は、「定期建物賃貸仮契約」という賃貸契約を結ぶ不動産取引になります。
一方のリバースモーゲージは、自宅を担保として提供することで「融資の受け取り」をベースにした金融商品です。
自宅の評価額が算出されますが、借入枠の大小で判断することが大切です。金融商品であるため、契約期間中に、金利が上昇することや毎年行われる担保評価額の見直しで不動産価値が下がるなどのリスクを伴うこともあります。
資金の受け取りが一括か、徐々に受け取るのか
リースバックは資金を一括で受け取れますが、対してリバースモーゲージは、資金を徐々に受け取るため、資金の受け取り方が異なります。
リースバックは、売買が成立した契約完了時点で、売却した資金を銀行に振り込んでもらったり、一括で現金を受け取ったりできます。
少し小さい家に引っ越す、ケアハウスや将来転居することを検討している方に利用しやすいサービスといえます。
一方のリバースモーゲージは、融資額の上限は、自宅を担保した際の評価額で決まります。年金と同じような形で、徐々に融資を受け取ることができるのでお金の管理もしやすいです。
金融機関側は、将来不動産を売却するため、「借入枠」を設定します。不動産担保価値の変動を加味した、金額を借入枠として設定するため、保守的な金額になることもあります。
所有権の移転する時期が違う
いずれ所有権が移ることは、両者どちらにも言えることですが、所有権が移転する時期が異なります。
リースバックは、所有権が契約完了後直ちに移転するため、移転時期は「現在」ですが、リバースモーゲージは、所有者が亡くなられた後に、自宅を売買するため、所有権が移転する時期は、亡くなったタイミングの「未来」です。
リースバックとリバースモーゲージを選択する人の特徴
不動産を活用した同じ資金調達方法である、リースバックとリバースモーゲージですが、比較してみると大きな違いがありましたね。
違いを理解したけれども「実際選択するときの基準は何？」「自分はどちらを選択するべきか」とお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
ここからは、リースバックとリバースモーゲージを選択する人の特徴をご紹介します。悩んでいる方は、ぜひ選ぶ際に参考にしてみてください。
リースバックを選択する方の特徴
リースバックを選択する方の特徴は以下です。
相続問題を避けたい
リースバックは、契約完了後、所有権（名義）が第三者に移るため、財産がお金に変わります。
相続問題の中でも、家や土地などの不動産は、分割することが難しく、相続が発生したときに問題になることが多くあります。
決まらないときは、専門家や弁護士を雇うなど、時間やお金が必要になります。老後にそんな相続問題を避けたい方にも、おすすめのサービスといえます。
店舗・事務所・工場を所有している
リースバックは、マンション・事務所・店舗など、自宅以外でも契約できる特徴があります。そのため、店舗兼事務所で営業している場合でも、安心して営業を行うことができます。
税金やマンションの管理費の支払いが負担になっている
相続問題でもお伝えしたように、所有権（名義）が第三者に移ると、固定資産税を納付する必要がありません。さらに、マンションに住んでいる場合にも、管理費や修繕積立金の支払いの義務もなくなるため、契約者の負担を軽くすることができます。
リバースモーゲージを選択する方の特徴
一方のリバースモーゲージを選択する方の特徴は以下になります。
年金のように毎月決まった額を望む
リバースモーゲージは、資金の受け取り方が3種類あります。
自分で選択することができますが、「年金型」と呼ばれる毎月一定額が口座に振り込まれるタイプを選択すると年金のように融資を受け取ることが可能です。使いすぎるなどの不安が解消され、安心して老後の生活を送ることができます。
リフォームを検討している
リバースモーゲージは資金の使い道が限られていることが多いですが、リフォーム費用として利用することを多くの金融機関が認めています。
病気や生活レベルに合わせて、自宅をバリアフリー化するなど快適な暮らしを実現することを目的としています。
所有権・名義を変更したくない
リバースモーゲージは、自宅を売却するまで所有権（名義）が変わることがありません。
自宅の所有者が亡くなった後、遺族の方が売却して金融機関に返済する流れなので、売却するまでご自分の名義の家に住み続けることができます。
まとめ
この記事では、リースバックとリバースモーゲージの基本的な仕組み、それぞれのサービスの違いや選択する人の特徴についてご紹介しましたが、参考になりましたでしょうか？
リースバックもリバースモーゲージも、どちらを選択しても、住み慣れた自宅に住み続けながら、老後資金を確保できる素晴らしいサービスです。二つのサービスは似ているようですが、老後の資金の受け取り方や、所有権の移転などの違いがあるので、よく確認しましょう。
老後にどのような生活を送りたいか、優先的に望むものは何かなど、ご自身にとって大切にするものを基準にしてベストな選択をし、後悔しないようにしましょう。
