リースバックの期待利回りの解説と家賃に関する注意点を紹介
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リースバックとは、所有している住宅を売却して家賃を支払うことで、引き続き住むことができる不動産サービスです。老後や子どもの養育に必要な資金を調達する手段として、リースバックの需要が増加しています。
リースバックを利用するにあたって、誰もが気になるポイントは「家賃設定の方法」です。住宅を売却した後も家賃が発生するとなれば、毎月どれくらいの費用が必要なのかリースバック契約を交わす前に知っておきたいですよね。
しかし、リースバックを利用して賃貸借契約を結んだ場合、通常の家賃設定とは異なるため、住宅付近の相場を調べても正確に算出ができません。リースバックにおける家賃設定は、不動産会社の「期待利回り」が関係しています。
期待利回りとは、買主である不動産会社が買取した住宅から期待する利益のことです。期待利回りを使った基本的な家賃設定の仕組みを知ることで、おおよその家賃を算出できます。
本記事では、リースバックの家賃設定方法の詳しい解説に加えて、リースバックの家賃に関する注意点をご紹介します。
リースバックの家賃設定の仕組みを解説
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長期間にわたって支払いが続く家賃をきちんと把握しておくことは、安定した生活を築くうえでとても重要な鍵となります。リースバックの家賃設定の方法も契約前に把握し、上手な資金運用の計画を立てていきましょう。
ここでは、リースバックの家賃設定の方法と期待利回りの解説、家賃を下げる方法についてご紹介します。
リースバックの家賃設定の方法
先ほどもご説明した通り、リースバックの期待利回りは買主である不動産会社が買取した住宅から期待する利益のことです。要は、不動産会社が家賃を設定して利益を得ていく仕組みとなっています。
リースバックの家賃設定は、以下の条件をベースに算出します。
- 住宅の売却金額
- 期待利回り
- 契約期間(12ヶ月)
上記の3つの条件をベースに、月々の家賃が設定されます。
住宅の売却金額
住宅付近の相場を調べてもリースバックの家賃を算出できない理由は、住宅の売却金額が関係しているからです。似たような不動産の相場を調べれば、おおよその価値がわかるのですが、住宅の築年数や状態によって売却金額は変動するので正確な情報は得られないでしょう。
さらに、リースバックを利用して住宅を売却した場合、相場よりも2〜3割程度安く見積もりが出されます。リースバック以外の売却方法と比較すると安い金額を提示されるため、何も知らずに契約を進めていくと、トラブルのきっかけになります。
住宅付近の不動産の相場を調べて算出をしたときは、予想よりも安くなることを想定しておきましょう。
期待利回り
通常、リースバックの期待利回りは6〜13%程度となるのが相場です。期待利回りは住宅のリスクに応じて変動するため、必ず希望通りの設定になるとは限りません。
例えば、新しい買い手が見つかりやすい好条件の地域や、築年数の浅い新しい住宅であれば、リスクが少ないとみなされるため期待利回りを低く設定しても問題がないと不動産会社は判断します。
逆に、買い手が見つかりにくい地域であったり、築年数が長かったりするとリスクが高いと判断されるので期待利回りが高くなる傾向にあります。
しかし、リースバックの大きなメリットは、複数の費用の支払いがなくなるため、負担が軽くなることです。複数の費用とは、固定資産税や保険、維持費などが契約と同時になくなり、不動産会社によっては敷金と礼金、更新料を無料にしているところもあるため、初期費用が低額ですむことがあります。
住宅の条件次第で高い家賃になる可能性がある一方で、さまざまな費用の支払いがなくなるため、資金運用がシンプルになりストレスがなくなることもリースバックの特徴です。
家賃の計算方法
続いて、家賃の計算方法について解説します。リースバックを利用する前に、あらかじめ大まかな家賃を算出したい方は以下の計算方法を用いてください。
「毎月の家賃=住宅の売却金額×期待利回り÷12ヶ月」
ほとんどの不動産会社が上記の計算方法で家賃を算出するため、事前に必要な資金運用の計画を出すことができます。一部の不動産会社では、住宅付近の相場をベースに家賃を算出するところもあるため、その場合はたくさん質問をして内容を教えてもらうようにしましょう。
では、実際に上記の計算式を使って、いくつか家賃を算出してみます。
- 売却金額2,000万円×期待利回り10%÷12ヶ月=16万7,000円
- 売却金額1,500万円×期待利回り10%÷12ヶ月=12万5,000円
1の計算は、まとまった資金が多く入る分、毎月支払う家賃も高くなります。長期間にわたって、毎月16万7,000円を支払うことになるため、資金運用の計画を慎重に立てる必要があります。
一方、2の計算では売却金額が下がることで、月々の家賃の支払いも下がります。手元に入る資金は少なくなりますが、家賃の負担は軽減されるため、生活の安定を維持しやすくなるでしょう。
リースバックを利用することで、売却後も住み慣れた住宅で生活できますが、毎月の家賃を支払い続けられるかどうかも重要なポイントです。住宅の売却金額が高くなったからといって、絶対に安心というわけではありません。必ず先々の資金の使い道を考え、収入予測や病気などのリスクも勘案したうえで、リースバックを利用しましょう。
家賃を下げる方法
続いて、家賃を下げる方法をご紹介します。家賃は毎月必ず負担となる費用だからこそ、誰もができる限り安くすませたいと考えるはずです。安定した生活を送るためにも、家賃を下げる方法も知っておきましょう。
家賃を下げる方法は、主に2つのパターンがあります。
- 住宅の売却金額を下げる
- 期待利回りが低い不動産会社と契約する
どちらのパターンが適しているのかは、人によって違うため状況に応じて選択するようにしましょう。
住宅の売却金額を下げる
前述した「家賃の計算方法」でもご紹介しましたが、住宅の売却金額が低くなれば家賃は下がります。ここで知ってもらいたいポイントは、売却金額を下げる要望ができることです。
売却金額を上げることはできませんが、あえて自ら売却金額を低くするように要望すれば、家賃を下げることができます。もちろん、手元に入る資金は少なくなるのですが、家賃の負担が軽くなることは間違いないため、選択肢の一つとして検討しておくと良いでしょう。
ただし、売却した住宅の再購入を考えている方や、賃貸契約をしてから数年で退去を考えている方は、売却金額を下げると損する可能性があるため注意が必要です。売却金額をあえて低くする場合は、必ず数十年先の家賃の総額を計算して判断するように気をつけましょう。
期待利回りが低い不動産会社と契約する
不動産会社が設定する期待利回りが低ければ、家賃は下がります。しかし、ここで問題となるポイントは、不動産会社は期待利回りを公開していないことです。
前述したように、期待利回りは住宅のリスクや築年数、状態に応じて変動するので、不動産会社をたくさん調べたとしても正確な数字は出てきません。
期待利回りが低い不動産会社を探す方法は、リースバックの依頼を1社に絞らないことです。一度に複数の不動産会社に査定してもらい、見積もりを比較することで期待利回りが低いところと契約ができます。
時間と手間がとてもかかるように思えますが、高い家賃を長期間支払い続けることを考えると、複数の不動産会社に査定してもらい、できるだけ低い期待利回りで契約したほうが安定した生活を得られるでしょう。
また、複数の不動産会社に査定してもらうことで、売却金額も比較できるため、期待利回り以外の情報を得られ、判断しやすくなります。
将来の計画によって家賃を下げる手段は異なるため、自分の生活状況に合わせることが大切です。家賃を下げることが必ずしも正しいとは限らないので、慎重に判断しましょう。
リースバックの家賃に関する注意点
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リースバックを利用するにあたって、家賃に関する注意点をきちんと知っておくことが重要です。賃貸契約において家賃に関するトラブルは非常に起こりやすく、場合によっては自分を不利な状況に追い込む可能性があります。
トラブルを引き起こさないためにも、家賃に関する注意点をきちんと把握しておきましょう。
ここでは、リースバックの家賃に関する注意点をご紹介します。
初回の家賃は2〜3ヶ月分の支払いが必要な場合がある
ほとんどの不動産会社が前払い家賃として、あらかじめ契約時に2〜3ヶ月分の家賃の支払いを請求することがあります。住宅の買取金額から最初から差し引いている場合もあるので、契約時に初回の家賃の額を確認しておくことが大切です。
不動産会社によって請求額は異なりますが、基本的に初回に2〜3ヶ月分の家賃を支払うことを想定しておきましょう。
家賃の支払いが滞ると契約違反になる
賃貸契約におい家賃の支払いが滞ると契約違反に該当するため注意が必要です。家賃に関する電話や督促状を無視していると、不動産会社は法的処置、または契約解除を行う権利が発生します。
例え住宅の元持ち主だったとしても、裁判所による強制退去が行われるため、住み続けることができなくなります。リースバックを利用する前に、どれくらいの期間同じ住宅に住み続け、家賃の総額がいくらなのか計算して、綿密に計画を立てることが重要です。
仮に家賃の支払いが滞りそうな場合は、トラブルを避けるためにも早めに不動産会社に連絡して相談することをおすすめします。
期待利回りは不動産会社や地域によって異なる
前述した内容と重複しますが、期待利回りは不動産会社や地域によって異なります。全ての不動産会社が一律の期待利回りにしているわけではないので、何も調べずにいると損をする可能性があります。
住宅の査定を1社だけに絞らず、複数の不動産会社に見てもらうことが非常に重要です。
また、似たような住宅を下調べしても、期待利回りが必ず同じになる保証はありません。買い手が見つかりにくい地域であれば、高い期待利回り設定になる可能性があります。
住宅の周辺地域の空き家がどれくらいあるのか調べることで、不動産会社が設定しそうな大まかな期待利回りが予測できるでしょう。
賃貸借契約の内容によって期待利回りが変動する
賃貸借契約は、基本的に2つの契約内容があります。
- 定期賃貸借契約
- 普通賃貸借契約
上記の契約内容次第で、期待利回りは変動します。基本的にリースバックを利用して賃貸契約した場合、ほとんどの不動産会社は定期賃貸借契約にしていることを知っておきましょう。
定期賃貸借契約であれば、期待利回りは低く設定されます。なぜかというと、不動産会社は買い取った住宅(不動産)を転売したほうが利益を得やすいからです。より多くの利益を確定させるために、依頼主に早めに退去してもらおうと考えます。
定期賃貸借契約は住宅を利用できる期間が決められている分、期待利回りは低く設定されるため、毎月支払う家賃は下がります。
一方で、普通賃貸借契約は、いわゆる一般的なマンションやアパートのような従来の契約方法です。長く住み続けられるメリットがありますが、期待利回りは高く設定されるので、当然家賃が上がります。
賃貸借契約の内容を決めるのは不動産会社に権利があるので、依頼主は契約書を見て判断することになります。上記でも説明した通り、ほとんどの不動産会社が定期賃貸借契約にしているので、先々の引っ越しに関しても計画しておくと良いでしょう。
まとめ
本記事では、リースバックの家賃設定方法の詳しい解説に加えて、リースバックの家賃に関する注意点をご紹介しましたが、参考になりましたか?
リースバックの家賃設定は、住宅の売却金額と期待利回りとを使って計算します。ご紹介した期待利回りを使った計算式で家賃を算出して、資金運用の計画を立ててみましょう。
また、リースバックを利用する前に、家賃に関する注意点を知っておくことが重要です。家賃はトラブルを引き起こす原因になる可能性があるため、しっかりと資金運用の計画を綿密に立てておく必要があります。
心配なことがあれば不動産会社に気軽に相談して、ゆとりのある生活を送れるようにしましょう。