セール&リースバックの取引でお得!オフバランス化の基礎知識の紹介
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増資や借入をしなくても資金を調達できるセール&リースバック。
事務処理にかかる時間や手間を削減し、ゆとりを保つことができるなど、企業によってさまざまなメリットがあるため、利用する企業が増加しています。
そんなセール&リースバックを利用する際は、同時にオフバランス化を導入することをおすすめします。オフバランス化することで、会計がシンプルになり効率的に経理ができたり、外部評価や資産利益率を高める効果もあります。
この記事では、セール&リースバックの流れやメリットについて、取引の中でも最大のメリットであるオフバランス化の基礎知識についてをご紹介します。
セール&リースバックで資金操りを良好にしたい方や、オフバランス化を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
セール&リースバック取引とは?
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セール&リースバックとは、名前の通り資産をセール(売却)し、リースバック(契約して借りる)を行う手続きを指します。
企業が保有する車や機械、不動産などの資産を売却し、その後もリース契約することによって同じ資産を借りることができる便利なサービスです。
ここでは、そんなセール&リースバックの取引を行うときの一連の流れやメリットなど、基本的な内容についてご紹介します。
セール&リースバックまでの流れ
セール&リースバックは、企業側とリース業者が下記のような流れを通して成立します。
- 【企業】資産の売却
- 【リース業者】資産の買取・買取額の支払い
- 【リース業者】所有権を移転する
- 【企業】これまで利用していた同じ資産をリース会社から借りる
- 【企業】リース料金を毎月支払う
一般的な資産の売却とは違い、セール&リースバックでは、リース契約を結ぶことで、売却した資産を再び借りることできます。
リースとレンタルの違い
レンタル契約と何が違うの?と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。類似しやすいレンタル契約と比較すると、リース契約には下記のような特徴があります。
- 対象物件が多い
- 利用料金が安い
- 再契約・延長可能
- 物件の維持や管理が可能
- 契約期間が長い
上記の中でも最大の違いとなるのが契約期間です。リース契約は、半年から10年の長期で契約するのに対し、レンタル契約は、時間や日単位の短期の契約を結びます。
企業として資産を借りるのであれば、安価で長期の契約を結べるリース契約を利用した方が、会計がシンプルになり、経営がしやくなります。
セール&リースバックのメリット
セール&リースバックには、企業側とリース業者、双方に嬉しいメリットがあります。ここでは、企業側にとって嬉しい6つのメリットについて解説していきます。
まとまった資金が手に入る
不動産を売却することで、まとまった資金を手に入れることができます。
会計上の売り上げが黒字でも、手元の資金不足によって借金の返済が滞ると、企業としての存続が難しくなります。しかし、セール&リースバックを利用すれば、自由に使える資金が手元に入るため、キャッシュフローを安定させることができ、資金操りが楽になります。
さらに、手元に入ってくる資金の用途が決められていないため、手に入れた資金を借金の返済などに充て、経営難を断ち切ることも可能です。
資産をそのまま使い続けることができる
セール&リースバックを利用すれば、毎月リース料を払い続けることで、売却した資産をそのまま使い続けられ、今までと同じ場所で変わらず仕事を行うことができます。
例えば不動産を売却し、新たな移転先を探すとなると、時間や手間がかかってしまいますが、セール&リースバックを利用すれば、実務的な支障もなく、資金調達することが可能です。
売却した資産を再購入できる
セール&リースバックでは、一度売却した資産を再び自分の手元に戻すことができます。
一般的な資産売却の場合は、一度売却した不動産を再び購入することは難しいですが、セール&リースバックの場合は、資金操りが好調になった際に、売却した資産を再購入することが可能です。
再購入する際の価格の見積もりを提示してくれるリース業者もあるため、事前に問い合わせてみるといいでしょう。
売却したことを周囲に知られずに済む
セール&リースバックを行っても、リース業者や資産の名義が変わるだけなので、目で分かるような変化がなく、手続きを行ったことを周囲に知られることはありません。
そのため、取引先にバレることなく資金を手に入れることができるため、資金操りがうまくいっていないと、信用低下になることを防ぐことができます。
仕分け作業の負担を軽減できる
固有資産である不動産を所有していると、必ず下記のコストがかかります。
- 減価償却費
- 保険料
- 固定資産税など
このようなコストは定まった金額ではなく変動します。そのため、毎年の税務申告時に手間がかかることが作業負担になるケースがあります。
セール&リースバックを利用すれば、仕分けがシンプルになるため、経理の作業負担を軽減することができます。
リース料は経費にできる
セール&リースバックによって売却した資産を使い続けるために支払うリース料は、経費に計上することができます。
資産は購入する際の価格よりも売却する際の価格の方が、低くなるのが一般的です。売却損が生じた場合でも、法人税を節約できることもセール&リースバックのメリットです。
オフバランス化の基礎知識
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セール&リースバックがもたらすメリットをいくつかご紹介しましたが、最大のメリットといわれているのがオフバランス化です。
セール&リースバックの取引でいう「バランス」とは、貸借対照表(バランスシート)を指し、そこから資産を外す(オフする)という意味で「オフバランス」と呼ばれています。
ここでは、そんなオフバランス化のメリットとデメリット、オフバランスするための方法など、基礎知識について解説していきます。
取引に備え、基本的な知識を身につけておきましょう。
オフバランス化のメリット
なぜ、バランスシートから資産をオフする「オフバランス化」を行う必要があるのか、それには、下記のようなメリットがあるためです。
- 企業の保有財産額を的確に算出する
- 下落する可能性のある資産を計上しないようにする
- 効率的な経営を行うため
オフバランス化によって、貸借対照表にある負債などの余計なものが見えなくなり、会計が健全にみえるようになります。すると、外部評価が高まるというメリットが生じます。
また、不動産を賃貸契約に切り替え、継続していくと資産を持たずに効率的な経営ができ、金利の負担を減らすことで資産利益率を高めることもできます。
オフバランス化で得られるメリットが多いため、都心部に建設された企業ビルのほとんどがセール&リースバックされた物件と言っても過言ではありません。そのため、オフバランス化を導入する企業が増加しています。
知っておくべきデメリットとは?
貸借対照表に記載されない契約を活用するオフバランス化には、前述したように多くのメリットがある一方、知っておくべきデメリットもあります。
- 現金化できるものが減る
- 手続きの際の仕組みが複雑
- トータルコストが高くなる可能性がある
オフバランス化には、複雑な仕組みもあるため、信託銀行や特別目的会社、取引をマネージメントするアレンジャー(証券会社)など、利害関係者との関わりを多くもつことになります。そのため、支払う手数料によって、トータルコストが高くなる可能性もあります。
オフバランス化するまでにかかる経費やデメリットについてもあらかじめ把握し、それに見合うメリットがあると判断した上で、オフバランス化することが重要です。
オフバランス化するための方法
オフバランス化を行うためには、いくつかの方法があります。
- 必要設備をリースにする(車、OA機器、機械設備など)
- アウトソーシング(外部からの調達)で負担を軽減
- クラウドサービスの活用
- 賃貸やレンタルサービスを利用する
必要設備はできるだけリース契約を結び、借りられるものを借りたり、クラウドサービスなどの新しいサービスを利用したりすることで、オフバランス化することが可能です。どれも難しい方法ではないので、これを機にオフバランス化を検討してみてください。
抑えておきたいポイント
投資家に収益が発生するような価値を見いだせなければ、買い手が見つからず不動産を売却することができず、セール&リースバックが立証されません。
オフバランス化を利用するためにも、買主に価値があると判断されるような魅力のある不動産と見られることも大切なポイントです。
また、オフバランス化する際に関わる利害関係社側のオフバランス化に対しての知識や理解があまり進んでいないケースもあります。
手続きに時間がかかるオフバランス化に対しての知識がないと、さらに時間が必要となるため、その時間を見越して計画を進めることが重要です。
まとめ
この記事では、セール&リースバックの流れやメリットについてや、オフバランス化の基礎知識についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
数ヶ月以内に資金が不足しそうであれば、資金操りが悪化しているといえます。会社の倒産を招かないためにも、まとまった資金調達ができるセール&リースバックの手続きを進めることをおすすめします。
また、セール&リースバックを利用する際は、同時にオフバランス化を導入すれば、効率的に資産を活用していると判断されるため、外部評価が高まり、後の利益に繋がることも考えられます。
経営をより良くしたい、そう考えている企業は、ぜひセール&リースバックを取り入れ、オフバランス化を導入してみてください。