リースバックの流れとは?今から考える老後の資金と相続問題の解決策
加齢にともない、働き盛りの現役時代に建てた家の勝手に不便さを感じることがあります。
リフォームや増改築によって高齢者にも住みやすい仕様に変える人もいますが、子や孫にとって住みやすい家か、残されて嬉しい家なのかという気持ちにもなるでしょう。
これまでの「一生を過ごし、子孫に受け継ぐための家」という考え方は、現代の日本において当たり前ではなくなりつつあります。
不動産の売却方法も多様化しており、所有している住宅を売却して新しい土地でセカンドライフを送る人も増えていますが、長年住み慣れた住宅を手放すのは寂しいものです。
そんなときにおすすめなのは、リースバックという不動産の売却方法です。
リースバックなら、住宅に住み続けたまま、不動産の売却をすることができるため、引っ越しの必要もありませんし、お持ちの不動産のお悩みや将来への不安を解決できるかもしれません。
この記事では、そんなリースバックの特徴と流れについてご紹介します。
不動産売却のメリットとデメリット
不動産の売却は、以前は一般的な会社員にとってあまり馴染みのないものでした。
この記事の冒頭部分を読んでいただいた人の中にも「住み慣れた家を売却するなんて」と思った人もいるでしょう。
しかし、実際には資産の整理や相続の問題、住み替えやライフスタイルの変化を理由に住宅を売却する人はたくさんいます。
ほかにも転勤や転職、金銭的な問題など家を取り巻く問題はさまざまです。
そんな時に不動産を売却することで解決につながることも数多くあります。
不動産売却のメリット
不動産売却には、さまざまなお金に関するメリットがあります。
- まとまった額の資金を手に入れることが可能
- 不動産の所有により発生する「税金」「維持費」などの費用がかからない
- 相続の際の分割の問題、空き家問題は現金化することで解決できる
所有している不動産が住宅ではない場合や、転勤などによりその土地に住むことが困難になったケースであれば、できるだけ高く売れたらそれで良い、と考えて任意売却などの不動産売却方法を検討する人が多いでしょう。
一般的な不動産売却のデメリット
しかし、一般的な不動産業者の仲介による買取りだと、以下のようなデメリットがあります。
- 住宅を手放すことになり、家探しと引っ越しの必要がある
- 家を売りに出したことを周りに知られてしまうリスクがある
- 一度売ってしまった不動産を同じ状態で買い戻すことはほぼ不可能
中古物件の売買では、買い付けた後でリフォームをして再販をしている業者などもあり、最悪の場合は取り壊しとなる可能性もあります。
そのため一度売れてしまうといくら資金が揃ったとしても、再び同じ状態の家を取り戻すのは困難です。
また、不動産を売りに出すことで「あの家は売りに出されている」「借金があるのかもしれないな」というネガティブな印象を近所の住民に与えるのではないかと気になる人も多いはずです。
リースバックであれば住み慣れた住宅を手放すことなく住み続けることができます。
引っ越しの必要がないので、周りの人に知られてしまう心配もありません。
もし、また住宅を自らの所有物件にしたいと思った時には、買い戻す資金があればリース業者との交渉次第で所有の権利を取り戻すことも可能です。
リースバックの特徴
ここからは、リースバックとはどのような仕組みなのかを解説していきましょう。
リースバックとは、住宅などの所有している不動産を売却して、あらためて賃貸契約を結ぶことで家賃を支払いそのまま住み続けることができるというサービスのことです。
利用者は、家を売ることでまとまった額の資金を手にすることができます。
売却代金の使い道は制限されませんので、ローンの返済にあてることもできますし、老後の資金として貯めておくのも自由です。
所有していることで発生する税金や保険料がかからないうえに、定期的な支出は「家賃」としての定額の「リース料」がメインとなるため、今後の資産運用の計画がたてやすくなります。
リースバックを行う業者
リースバックを取り扱っている業者は数多く存在します。
不動産業者やリースバック専門業者、金融機関などで独自の契約プランがあるので、一度資料を取り寄せて比べてみるとイメージがわくかもしれません。
お住まいの地域のサービスを利用してみたり、司法書士や保険会社、不動産や相続に関する相談窓口で相談してみるのも良いでしょう。
対象物件と査定について
対象となる物件は、限定されてはいません。
一戸建ての住宅を想像されていた人もいるかもしれませんが、一戸建て・マンション・事務所・店舗といったあらゆるタイプの不動産が対象になります。
また、リースバックのメリットとしては「査定が早い」という特徴が挙げられます。
通常の不動産売買だと、時間がかかるうえに、不動産の立地環境や築年数によっては業者ごとの査定額に大きな差が生じることがあります。
不動産取引が身近になったために、不動産会社やリースの契約を行う金融機関は世の中に数多く存在するようになりました。
できる限り多くの業者に調査を依頼をして交渉していきたいところですが、そうなると当事者同士慎重になるので時間もかかります。
引っ越しを予定している場合は、転出先の家探しに加えて仮住まいの準備や売却のタイミングなども考えなければならず、より細かな調整が必要になり、頭を抱えてしまうこともあるでしょう。
リースバックの場合は、まず気になる機関や業者ごとの買取額とリース契約の内容を絞り出して比較していけば良いので、ご自身の理想にあうプランを見つけやすいはずです。
さらに、リースバックは一旦は賃貸契約を結んで、その後は契約期間の更新があれば「延長」か「退去して別の住宅に移住」かをその時の状況に応じて選択できるという余裕があります。
リースバックの流れについて
続いてリースバックの流れについてご紹介します。
1:まずは専門家に相談
一度気になる業者に問い合わせをして、どういったプランがあるのかを確認し、必要であれば査定を依頼します。
2:面談・現地調査・見積もり
本人の希望や実際の物件の状況を伝える場ですので、事前にしっかりとした準備と意思決定をしておくことが重要です。
3:契約内容の比較検討
各社、売りにしているポイントがありますので、なにを重要視して決定するのかじっくり検討しましょう。
基本的に比較するのは以下のような事柄です。
- 売買価格
- 家賃(リース料)
- 賃貸の契約期間と更新のタイミング
- 買い戻しの条件
- 金融機関との賃貸契約の場合、契約者に付与される特典など
ただし、場合によってはこのほかにも手数料などの諸費用が別途上乗せになることがありますので注意してください。
4:契約
条件に納得した際は、「売買契約書」にて契約を結ぶと同時に「賃貸借契約」の書面契約も実施されます。
リースバックの契約のほとんどは2~3年の「定期賃貸借契約」です。
買い戻しを検討している場合は、その期間内に資金を用意する必要があるので、不安があれば賃貸契約期間を長めに設定する、再契約・更新などの条件を契約に入れる、のいずれかを必ず確認してください。
5:決済・所有権の抹消
利用者は売却代金を受け取り、資金を手に入れることができます。
そして物件の「所有権」を買取り業者(またはその後の運営会社)へ移す手続きが実行されます。
6:賃貸借契約の開始
売却後、利用者は家賃(リース料)を毎月支払うことで、引っ越しの必要もなくこれまで同様に借主として物件を利用することができます。
7:契約期間の満了
リースバックは、交わした契約内容によって、物件を買い戻すこと、別の物件を購入すること、別の物件に転居するということが可能です。
ただし、契約期間が満了になった場合に賃料の値上げや立ち退きの依頼がある可能性がありますので必ず契約時に確認し、念頭に置いておく必要があります。
以上がリースバックの流れとなります。
売却を決めてからリースバックの契約が完了するまでのイメージは浮かびましたか?
なお、すでにリースバックを利用している場合は、家族の成長や相続の悩みにあったプランになっているか、定期的に見直して利用計画を立てましょう。
まとめ
新型コロナウイルスの影響もあり人々の価値観や生活様式は多様化し、常に変化しています。
「一生を過ごし、子孫に受け継ぐための家」とするためにマイホームを購入した人、住宅ローンを利用して長期的な物件の利用計画をたてている人はたくさんいるでしょう。
しかし、現代の日本は少子化と高齢化が同時に進む少子高齢化社会で、相続の問題によって空き家が残ることが社会問題となっています。
お持ちの不動産をどのような形の財産として家族に残すのか、残った家や物の整理は誰が行うのかを考えてみてはいかがでしょうか。
リースバックをうまく利用すれば、「家族の幸せ」の象徴のマイホームで余生を過ごすことができますし、債務や財産の整理ができるはずです。
住み慣れた住宅の売却には心の整理と踏ん切りが必要です。
リースバックを利用して賃貸契約を開始した場合、老後の資金はいくらくらい必要なのか見積もりを出してみてはいかがでしょうか。
今はリースバックを利用する気持ちにならない人も、ご相談や査定が無料の業者もたくさんありますので、ぜひ一度自分の家がいくらで売却できるのか調べてみると将来への不安な気持ちが、前向きな気持ちに変わるかもしれません。