リースバックの活用事例&トラブル事例を詳しく解説
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皆さんは「リースバック」をご存知ですか?不動産業界での利用が進んでおり、企業の場合には経営のためのまとまった資金を獲得するため、個人の方では相続に向けて所有する住宅を現金化するためといった理由から利用が図られています。
リースバックの仕組みを知っているという方でもどのような場合にリースバックを最大限に活用できるのか、実際にリースバックを利用するうえで発生する可能性のあるトラブルまで把握されている方は少ないのではないでしょうか?
この記事ではリースバックの基礎知識として、仕組みの概要・メリット・デメリットを押さえるとともに、リースバックの活用事例、利用時のトラブル事例とトラブルを回避する方法に関してご紹介していきます。ぜひ、ご一読ください。
リースバックの基礎知識
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まず初めにご紹介するのはリースバックの基礎知識に関してです。リースバックの仕組みの概要、リースバックを利用することで得られるメリットと利用の際に注意すべきデメリットに関して見ていきたいと思います。
リースバックの仕組み
リースバックとは、売買契約と賃貸借契約が一体となった売却手法のことを指しています。
売買契約を行うことによって、「売主から買主への売却物の引渡し」と「買主から売主への代金の支払い」が行われます。一般的な売却行為であれば、このような手続きのみで売却は完了します。
リースバックの場合には、売買契約による上記の手続きと併せて、売却物に対する賃貸借契約を買主(賃貸借契約の視点で言えば貸主)と結ぶという手続きも実施します。
売買契約と賃貸借契約を一連の手続きとして行うことにより、売主は「代金の受取によるまとまった資金の調達を実現するとともに、これまでと同様の売却物の利用を実現する」ことができるようになります。
このような仕組み、売主が得られる恩恵がリースバックの大きな特徴として注目されています。
メリット
次に確認するのはリースバックのメリットに関してです。リースバックのメリットは以下のものが挙げられます。
- 売却物を売却した後もこれまでと同様の利用を続けられる
- 現金化までの手続きがスピーディーである
- 所有することで抱えるリスクを回避することができる
- 将来的に買戻しを検討する場合には買戻しのための手続きも用意されている
それぞれに関して詳しく見ていきましょう。
売却後にもこれまでと同様の利用ができる
リースバックの「売却してまとまった資金を手にしつつ、これまでと同様の利用を続けられる」という特徴がそのままメリットになっているものです。
具体的にこれを含めた後のメリットそれぞれがどのような場合に活用されるのかは後述の「リースバックの活用事例」にてご紹介していきます。
現金化までのスピーディーな手続き
まとまった資金を手に入れるための手法のひとつとしてリースバックをご紹介しておりますが、一般的にまとまった資金を手に入れるために利用されるのは金融機関からの融資ではないかと思います。
融資の場合には金融機関での仮審査と、金融機関・保証機関による本審査を通過する必要があり、実際に現金として受け取るまでには時間を要します。リースバックであれば、売買契約の締結によるステップを経るだけですので現金化までの手続きがスピーディーであると言えます。
所有者特有のリスクを回避できる
不動産を所有し続ける限り、災害による損失、改修費用の発生などが生じる可能性があり、これがリスクとなって抱え続けることになります。
リースバック手続きを通じて不動産の所有権は新たな買主へと移行するため、このような場合における負担も新たな買主が負うものとなります。
買戻しのための手続きも用意されている
リースバック手続きの売買契約時に特約として買戻しに関する条件を付すことによって、売却した不動産の買戻しを行うこともできるようになっています。
デメリット
リースバックのデメリットは以下のものが挙げられます。
- 売却価格が相場よりも安くなる
- 賃借利用となるため利用に関して制限が掛かる場合がある
- 賃貸借契約の種別によっては賃借利用期間が限定される場合がある
それぞれに関して見ていきましょう。
売却価格が相場よりも安くなる
リースバックの際の売却価格は、通常の売買による売却価格よりも安くなる傾向にあります。おおよその目安としては通常の売却価格の60~80%ほどです。
このようになってしまうのはリースバックの買取先となる専門業者が利回りを重視するためであり、利回りの高さを維持するためには買取価格を低くしなければならないのです。
利用に関して制限が掛かる場合がある
賃借利用となるため、不動産の改修などは自由に行えなくなります。
将来的に買戻しを検討しているからと言っても、上記のような場合には貸主からの許可を得たうえで進めるようにしましょう。
賃借利用期間が限定される場合がある
賃貸借契約には普通賃貸借契約と定期賃貸借契約というものがあり、定期賃貸借契約の場合には賃借期間が限定されます。多くの場合、2~3年ほどが期間として設定され、更に利用する場合には更新が必要となります。
買主側の意向もあるかと思いますが、新たな買主へと売却する予定を考えている場合には更新が拒否される場合もあり、そうなった後には退去を求められることとなるため注意が必要となります。
リースバックの活用事例
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ここでは前述したリースバックのメリットがどのような事例の際に有効に働くのかについてご紹介していきます。
活用事例は以下のものが挙げられます。
- 所有する自宅が差し押さえられ競売に掛けられる恐れがあり対策を講じたい
- 早急にまとまった資金を用意する必要がある
- 収支状況を簡潔にしたいと考えている
それぞれの事例とメリットを併せて見ていきましょう。
自宅の差し押さえ・競売対策
住宅を購入する際には住宅を担保として住宅ローンを組むことが多いかと思います。しかしながら、ローンの返済が滞った際にはご自宅が差し押さえられ、競売に掛けられる可能性が出てきます。
リースバックを利用すればまとまった資金を手に入れられるため、これをローンの返済分に充てることができ、それと同時にこれまでと同様にご自宅の利用を実現することができます。
加えて、競売対策としてリースバックを利用したという方であれば、将来的には再度ご自宅を買い戻したいという思いを持つ方も多いかと思います。売買契約時の契約事項に買戻し特約を付しておくことで、再度の買戻しも実現できますので、これらのメリットを有効に活用しましょう。
まとまった資金の早急な用意
資金を用意しなければいけない状況というのは多岐に亘ります。企業の場合ですと、新規事業のために必要となる、などが理由として挙げられますが、融資による手続きなどをしようとすると時間を要してしまいスピーディーな経営が実現できなくなる恐れがあります。
リースバックであれば現金化までの手続きが融資と比較して簡略的であるため、まとまった資金の早急な用意も実現しやすいと言えます。
企業の場合の一例だけでなく、個人の場合であれば、老後の生活資金や教育費を確保したい、相続にあたり現金としてきちんと分割したい場合などに有効的です。
収支状況の簡潔化・整理
不動産所有による費用としては、災害保険料や要所要所での修繕費などが挙げられます。これらの費用を管理するには手間が多いですが、リースバックを利用すれば企業の場合にはリース料金として、個人の方であれば家賃としてそれらの費用を一本化することが出来ます。
加えて、企業の場合には貸借対照表上での経営情報の簡潔化が図られるため、最終的に経営向上へと繋げていくことも可能となります。
リースバック利用におけるトラブル事例
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リースバックの仕組みやメリット・デメリット、有効に活用できる事例についてご紹介してきましたが、手続きを進める中ではトラブルに発展してしまうというケースもあります。ここではそのようなトラブル事例に関してご紹介していきます。
加えて、ご紹介するトラブル事例をどのように回避すればよいのかのポイントに関してもご紹介していきます。
トラブル事例
リースバックの利用の際にトラブルとして挙がるケースは以下のものがあります。
- 家賃が値上げされるケース
- 家主が事前の相談なしに売却してしまうケース
それぞれに関して見ていきましょう。
家賃が値上げされるケース
リースバックを利用することで自宅売却後も賃貸借契約に基づいた形式で自宅に住み続けることが可能となります。この際の家賃金額は売主と買主の協議のうえで決定されます。
しかしながら、契約を更新するタイミングでオーナーから家賃の値上げを要求されトラブルに発展してしまうことがあります。
賃貸借契約の契約事項として家賃金額や支払い方法、支払期間などを明記することは一般的ですが、家賃金額の変動などに関する事項も契約以前にきちんと確認し、賃貸借契約書に明記することが重要であると言えます。
相談なしに売却されてしまうケース
リースバックを利用すると、不動産の所有権が買主へと移行するため、買主がまた更に新たな買い手へと販売するということもあります。その結果、オーナーの変更によって家賃の値上げや退去を急に迫られてしまうということもあります。
契約を締結する以前から、買主側の売却に関する意向を聞いておき、賃貸借契約の契約事項にきちんとオーナー変更の際における規約も設けておくようにしましょう。
トラブルを回避するために
上記のトラブル事例の中でも触れていますが、トラブルを回避するために何よりも重要なことは、買主と売主間できちんと協議を行い、協議の内容をきちんと契約書面に明記することとです。
契約書面に記した内容は履行が義務付けられることとなるため契約を締結する前に条件をきちんと確認するようにしましょう。
加えて、信頼できるリースバック専門業者を選定することも重要であると言えます。リースバックの実績を重ねている専門業者であれば、条件交渉におけるノウハウも充実しており、リースバック利用者の要望を汲んでもらいやすいかと思います。
条件交渉のノウハウに加えて、リースバックの手続きから売却後の賃借利用までのサポートが整っているかも重要です。専門業者を選定する基準を適切に見定めてトラブル発生を事前に防止し、リースバックを円滑に進められるようにしましょう。
まとめ
ここまでリースバックの基礎知識、リースバックの活用事例、手続き中によくあるトラブル事例、トラブルの回避方法に関してご説明してきましたが、ご理解いただけたでしょうか?
メリットが豊富にあるリースバックですが、手続き中のトラブルとしてどのようなケースがあるのかを事前に理解していなければメリットも十分に受けられず、最悪の場合には損失が生じてしまうということもあります。
この記事を参考にして、読者の皆さんがリースバックの恩恵を最大限に受けられるようになって下さると幸いです。