リースバックをどう活かす?活用からトラブルまで幅広い例を紹介

リースバック 例

事業者や法人、一般個人まで幅広くの方が資金調達手段として利用可能な”リースバック”。

もともと、不動産活用を通じた方法として「セールス・アンド・リースバック」として従来から存在していましたが、近年のカーシェアリング等に代表されるような、モノに対する”所有意識”から”共有意識”への移行によって一般の方にも普及されるようになったといわれています。

さまざまな方がご利用するようになったからこそ、考えたいのが「リースバックをどのように活かすのか?」ということです。

近年、「私のような人でもリースバックは利用できるのか?」、「どのようなケースでリースバックが有効なのか?」といった相談から、「リースバック手続きは無事に済んだものの、こんなことで困っている」といったものまで、多くの声が挙がってくるようになりました。

そこで、今回の記事では、”リースバックを有効に活かす”ことに着目して、どのような活用事例・トラブル事例があるのかをご紹介していきたいと思います。実際のご利用時に向けてぜひ理解を深めていただければと思います。

リースバックの基本

リースバック 例

まずはじめにリースバックに関する基礎知識を抑えていきましょう。

リースバックとは、不動産活用に用いられる取引形態の一種であり、売買契約と賃貸借契約を一連の手続きで行う不動産取引のことを表しています。

売買契約を通じて、リースバック申込者が所有する不動産を新たな買い手に売却するとともに、売却予定の不動産に関して買い手との間で賃貸借契約を結ぶことで、不動産の売却による資金調達を実現するとともに、これまで利用してきた不動産を継続して(賃貸不動産として)使用できる仕組みが実現されています。

リースバックの対象となる不動産は多岐に亘り、一般個人の方であればその多くは所有する住宅を対象に、事業者や法人となれば所有するオフィスや工場・倉庫などに活用することができます。

また、不動産に対して利用されることの多いリースバックですが、企業向けのものとしては車両(社用車)を対象にサービスを展開している専門業者も存在しています。

このようなリースバックには、主に以下のようなメリット・デメリットが存在しています。

◆メリット

  • 不動産等を売却した後、新たに(賃借物として)これまでと同様に利用できる
  • 売却予定物の売却による現金化の手続きが短期間で行われる
  • 売却によって獲得した資金の用途には特段の制限が設けられない
  • (賃借物として)これまでと同様の利用を続けることとなるため、近所の方や取引相手などに、売却を行った事実が一見しただけでは分からない(家計・経営事情について勘ぐられにくい)
  • 資産所有によって支払い続けていたコストが家賃・リース料として一本化される
  • 資産を所有することで抱え続けるリスク(価格変動リスク・災害等による損失リスクなど)を回避できる
  • 将来的には再購入(買い戻し)するための手続きも用意されている

◆デメリット

  • 売却価格(買取の査定価格)が一般的な売買取引の相場価格よりも割安な傾向にある
  • 賃貸借契約の契約形態によっては賃貸借利用期間に制限が設けられることがある(不動産の多くは2~3年)
  • 家賃・リース料が割高に設定される傾向がある
  • 売却で獲得した資金をローン返済などに充てる場合、「売却資金額<ローン残債務」となるとリースバックを利用できない(抵当権が残るため)
  • 売却物の所有権は買主に移転するため、これまでと全く同様の利用ができるわけではなくなる(リフォーム等の制限)

リースバックの活用例

リースバック 例

次に、リースバックの活用事例に関して見ていきましょう。

メリットに挙げたように、リースバックの売却手続きを通じて獲得した資金は自由に活用することができます。従来の資金調達手段である借入などでは、審査があることはもちろん、借りた資金の使い道には、当然といえば当然ですが制限があり、借入目的と合致したものでなければなりません。

資金の活用用途に制限がない分、リースバックの活用例も多岐に亘ります。以下に挙げた活用例はその中でも代表的なものです。

  • 事業資金の確保
  • 老後の生活資金の確保
  • 相続対策
  • 教育費の確保
  • 新居購入の頭金の確保
  • 住宅ローンの負担削減
  • 自宅の差し押さえ・競売対策
  • 債務の返済

それぞれに関して詳しく見ていきましょう。

事業資金の確保

一般個人の方にも広く普及してきているリースバックですが、本来はビジネスシーンで用いられることの多かった手法である分、事業資金を確保する目的で使われることが今も非常に多いです。

更に、企業経営の中では一時的な出費への補填をする必要性が生まれたり、新規事業を展開するため・設備投資を行うために資金が必要となることがありますが、調達資金の用途が自由であるため、事業者・法人がさまざまな理由からリースバックを利用しているのです。

老後の生活資金の確保

歳を重ねるようになると医療費での支払いが多くなることがあるかと思います。更に、退職金が想定していたよりも少額であったりなど、さまざまな事情が重なることによって老後資金が不足することがあります。

老後の生活資金の他にも、介護施設等への入居のための頭金などに充てられる方もいらっしゃいます。

相続対策

モノに対する所有意識が変化してきているため、不動産等をお持ちの方と、そのお子さんやお孫さんの考えには違いが生まれることもあるかと思います。

不動産を相続するよりも現金を残し、子どもたちの世代に分配できればと考えられている方もいらっしゃるでしょう。

このような際にリースバックを活用すれば、不動産等を現金化することができるため相続対策に一役買ってくれることにもなります。

教育費の確保

お子さんがいらっしゃる世帯では、お子さんの就学が進めば進むほど(小学校、中学校、高校、大学と進むほど)家計の支出が増加していくこととなります。

このような場合に、リースバックを利用してお子さんの教育費に充てられるご家庭もあります。特に、高校・大学となると、学費や教材費などの出費が小中学校の時と比べても高額となりがちです。また、お子さんの進みたい学校の都合で、私立の学校に通うとなると、更に負担は大きくなります。

このような手段としてもリースバックは利用可能ですので、ぜひご検討ください。

新居購入の頭金の確保

住み替えで新居の頭金が不足している際に、リースバックを利用して自宅を売却し、そのための資金を調達することも可能です。一般的な住み替えでは、自宅の売却後に仮住まいへの引っ越し等が必要となりますが、リースバックであれば自宅から新居へと直接引っ越すことが可能となります。

また、新居購入の資金を蓄えつつ、引っ越しの手間や出費を抑えたいという理由からリースバックを利用される方もいらっしゃいます。

住宅ローンの負担削減

リースバックで獲得した資金を、住宅ローンの残債務に充てることでローンの支払い負担を軽くすることができます。ローンの残債務を完済することが期待できるのはもちろんですが、売却しているため、その後は固定資産税を支払う必要がなくなります。

メリットにて挙げたように、住宅に係る月の出費が賃料のみに一本化されるため、このような住宅ローンの返済に悩まれている方が利用するケースもあります。

自宅の差し押さえ・競売対策

住宅ローンや固定資産税を滞納してしまうと、最終的には自宅が差し押さえの対象となり、競売に掛けられてしまう事態に陥ることがあります。

このような、自宅の差し押さえ・競売を防ぐためにリースバックを利用するのもひとつの手段として非常に有効です。

競売に掛けられそうな状況下でのリースバックの利用可能期間は、競売の入札開始決定通知が届き、その通知に記載された期日まで(入札の開始が行われるまで)となります。

リースバックのために進めるべき手続きはいくつかありますので、入札開始決定通知が届いてからではなく、返済が滞りそうになっている段階からリースバックの専門業者等に相談する方が賢明であるといえます。

債務の返済

先の2つの活用例でも触れましたが、リースバックで調達した資金は債務の返済にも使用することができます。上記2つの活用例は、住宅ローンに充てられていますが、これだけでなく、その他の債務に対しても充てることができ、金融機関のカードローンなど利息の高いローンの滞納を防ぐためにリースバックを利用される方もいらっしゃいます。

リースバックのトラブル例

リースバック 例

リースバックは不動産等を売却した後にも、売買契約を行った買主を貸主として、継続した不動産利用をすることとなるため、契約を行う不動産会社との信頼関係などが原因でトラブルが発生してしまうことがあります。

以下に紹介しているトラブル例を参考に、より良いリースバック活用を行っていただければと思います。

 

  • 相談もないままに売却されるケース(所有権がまた新たな第三者へと移転する)
  • 所有権の移転・賃貸借契約の更新等の際に契約が変更されるケース

それぞれについて確認していきましょう。

相談もないままに売却されるケース(所有権がまた新たな第三者へと移転する)

リースバックを利用した際の買主は、主にリースバックを請け負っている不動産会社などであることが多いです。悪質な業者の中には、リースバックによる賃貸借利用期間中に、相談もないままに不動産を第三者へと売却する者もいるようです。

このような事態を避けるためにも信頼のおける不動産会社を選定することはもちろん、リースバックの手続きにおける売買契約や賃貸借契約の中で、”賃貸借利用期間が満了するまで第三者への売却を禁ずる”といった特約を設けるようにしましょう。

所有権の移転・賃貸借契約の更新等の際に契約が変更されるケース

所有者の変更や、賃貸借契約の更新に伴って、当初の賃貸借契約とは異なる条件を要求されることもあるようです。その最たる例が、家賃の値上げであり、これによって月々の支払いが困難となり、結局、別のところへと引っ越すことになったというケースもあります。

これもまた、契約の内容そのものに関するルールを特約として設けて、ご自身が不利な状況に置かれないように対策を立てることが有効な手段になるといえます。

まとめ

リースバックがどのように活用されているのか、またリースバックを利用したことでどのようなトラブルが発生することがあるのかを、具体的な例を挙げてご説明してきましたが、ご理解いただけたでしょうか?

魅力の多いリースバックですが、メリットだけの理解を深めたリースバック利用では、後々のトラブルの発生リスクを上げることになるのはもちろん、トラブルに対してどのように対処すればよいのか分からず負担を大きくすることにもなりかねません。

どのように活用できるかだけでなく、どのようなデメリットがあるのかも十分に理解し、ご自身にとって最適な選択がリースバックであると自信を持って選択していただけるようになってもらえればと思います。そして、この記事が、リースバックを検討されている方の”リースバックの有効利用”の一助となれば嬉しい限りです。

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