不動産相続の評価額とは?知っておきたい5つの基礎知識と算出方法

不動産相続 評価額

遺産を相続する機会はそう多くありませんが、遺産の相続人になった場合、相続税を支払わなくてはなりません。

相続税を支払う際に課税対象となる遺産の中でも、株式や宝石などの現金化できる遺産とは違い、土地や建物などの不動産は金銭的な評価額を算出する必要があります。

難しいと思われる相続不動産の評価額について、ある程度の基礎知識を身につけ、評価額の算出方法も理解しておけば、相続が発生した際も安心して対処することできます。

この記事では、不動産相続の評価額について知っておきたい5つの基礎知識、不動産の評価額の計算方法についてご紹介します。

不動産相続の評価額や相続税についてある程度の知識を身につけたい方、相続した不動産の評価額を算出しようとしてる方は、ぜひ参考にしてみてください。

相続不動産の評価額とは?知っておきたい5つの基礎知識

不動産相続 評価額

ここからは、不動産相続の評価額について知っておきたい5つの基礎知識をご紹介します。

詳しく知らない方も、不動産の評価額が何に影響するのか、基本を抑えておきましょう。

それでは、さっそくご紹介します。

相続不動産の評価額とは?

不動産の評価額は、土地や建物の価値を示すものです。

相続した遺産の中でも土地や建物は、現金や株式などの遺産とは違ってそのままの状態では金銭的に評価することができません。

相続税の税額は、不動産を含めその他の課税対象に含まれる遺産をすべて合算して算出するため、土地や建物などの不動産を金銭的に評価する必要があります。

相続税の課税対象になる遺産は、不動産の他にも現金・株式・証券・車・宝石など、被相続人が所有していた遺産が当てはまります。その中でも不動産は、建物だけではなく所在する土地も評価額に含まれるため、相続税の納付額に大きな影響を与えます。

不動産の評価額が相続税の基盤になることを覚えておきましょう。

相続税の課税遺産総額を

相続税の納付額を出したい場合は、基準になる課税遺産総額を算出する必要があります。そのためには、まず相続遺産の課税対象に含めるものから、借金などの債務や葬儀費用などを差し引いて課税価格の合計額を算出する必要があります。

課税対象になる遺産に含めるもの、差し引くものは下記の遺産です。

【含めるもの】

  • 故人の遺産
  • 3年以内に生前贈与された財産
  • 3年前より以前に生前贈与されて相続時精算課税を適用した財産
  • 死亡保険金
  • 死亡退職金

【差し引くもの】

  • 借金や未払税金などの債務
  • 告別式までの葬儀費用
  • 墓地や仏壇などの非課税財産
  • 国や地方公共団体、特定の公益法人などに寄与した財産
  • 死亡保険金・死亡退職金の非課税限度額

含めるもの-差し引くもの=相続税の納付額

不動産の評価額は、課税対象内の「故人の遺産」に含まれているため、後述する不動産の評価額の算出方法を用いて、評価額を算出する必要があります。

相続遺産の価格を鑑定する場合は「財産評価基本通達」を基準にして、財産の評価額がいくらか算定するため、個人や専門家など、鑑定する人によっての価格差が生じないようにしています。

相続税の納付がないケースもある

前述した課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いた金額が課税遺産総額となり、この金額が相続税の納付額の基準になります。

そのため、算出した金額がプラスであれば相続税を支払う課税対象となりますが、0またはマイナスになった場合は相続税を支払う必要がありません。

基礎控除額とは、すべての納税者に適用されるもので、納税額を計算する際に、納税者の所得から一律で差し引かれる所得控除です。

基礎控除額は「3,000万円+600万×法定相続人の人数」で算定されます。

遺産を相続しても相続税を納付する必要がないケースがあることも覚えておきましょう。

不動産の評価額を割り出す「一物四価」について

不動産には「一物四価」と呼ばれる評価額があり、目的や状況によって使い分けられます。

一物四価は、「公示地価」「実勢価格」「相続税評価額」「固定資産税評価額」の4種類に分けられます。どのような評価額なのか、それぞれ詳しく解説していきます。

公示地価

地価(土地の売買価格)の基準となる公示地価。

国土交通省が指名する不動産鑑定士が、全国の約26,000の地点の価格を算出したもので、不動産取引や金融機関の担保評価の指標になる価格です。

実際の取引価格から金融機関の担保評価をベースに計算したもので、国土交通省のホームページで確認することが可能です。

実勢価格

実勢価格とは、不動産の取引実例や国土交通省の「不動産取引価格情報検索」の土地取引を基準に割り出される価格です。

市場相場の影響を受けやすいため、価格高騰や下落などにより価格の変化に波があります。

相続税評価額

相続税評価額とは、さまざまな財産を価格評価したもので、相続税を計算する際のベースにもなる評価額で、公示地価の8割を目安にした金額です。

相続した不動産は、土地と建物に分けられて評価額を算出します。土地や宅地など不動産の立地や条件によって計算方法が異なり、ルールがあります。

各方式については、後述で詳しく解説していきます。

固定資産税評価額

固定資産税評価額とは、所在地を管轄する各市町村が3年毎に個別で行う評価替えによって定められる評価額です。

毎年1月1日現在の土地や不動産の所有者に対し、課税する固定資産税を計算する上での基準になり、公示地価の7割を目安にした金額です。

評価額を計算する際はプロへの依頼も検討

不動産の評価額は、相続税の納付額に関わる重要な計算です。

素人計算で申告すると、相続税の払い過ぎや税務調査によって、後から追加で相続税の支払いを求められることもあるため、自分で評価額を算出するのが不安であれば税理士や不動産鑑定士など専門家に依頼するのがおすすめです。

プロであれば、これまでの経験や豊富な知識を活かし、スムーズに正しい評価額を算出してくれます。複雑で分からない内容についても気軽に相談することができるため、不安を解消できます。

評価額の算出を依頼する際は、複数の不動産会社に査定依頼を出すようにしましょう。1社だけに絞らず、複数の不動産会社に依頼して比較することで、査定内容や成功実績などが分かるだけではなく、相性の良い不動産会社を見つけることができます。

相続不動産の評価額の算出方法

不動産相続 評価額

ここからは、不動産の評価額の算出方法について詳しく解説していきます。

土地と建物に分けて、それぞれの算出方法をご紹介しますので、ぜひご自身が相続した不動産と照らし合わせて評価額を算出してみてください。

土地の評価額の算出方法

土地の評価額を算出する方法は、路線価がある場合に用いられる「路線価方式」と路線価方式が当てはまらない土地の場合に用いられる「倍率方式」の2種類があります。

どのような土地もどちらかの方法で土地の評価額を算出することができます。

路線価方式

路線価方式は、道路に面した土地で路線価がある場合に適用され、相続した不動産の土地の条件に合わせて算出する方法です。

下記の計算式で、算出します。

路線価×土地の面積×補正率=土地の評価額

路線価とは、路線に面する宅地の1平米あたりの評価額のことで、国税庁が決定した財産評価基準に記載された路線に単価となる「千円」をかけて算出したものです。

例えば、200Cと記載があれば単価をかけて200千円、つまり200,000円となります。

路線価の右隣に記載されたアルファベットは、借地権割合を指しており、A~Gまで記載されたアルファベットによって、借地の評価額を算出する際の借地権割合が異なります。

また、土地の形状や奥行きなど、土地によっても評価額は大きく変動します。土地の立地や条件に適切な値を求めたものを補正率といい、評価額の計算にも適用され、土地の条件によっては評価額が下がるケースもあります。

  • 奥行長大補正…間口の長さに対して、奥行が長い場合に適用される補正
  • 不整形地補正…いびつな形の土地に対して、その形に応じて評価額を下げる補正
  • 間口狭小補正…土地の間口が想定よりも狭い場合に応じて通常の価格よりも減額する補正

上記の他にも、騒音や日照時間が極端に短いなど、特殊な宅地の場合も補正が行われます。

倍率方式

路線価が定められていない地域の土地を評価する際に適用される方法です。土地の固定資産税評価額に、国税局長が地域ごとに定める倍率を掛けて評価額を出す方式で、計算式は下記のようになります。

固定資産税評価額×倍率=土地の評価額

前述した通り固定資産税評価額は自治体が定めるものですが、一般的に時価7割が評価の基準になり、土地の形状や面積、道路との面し方によって評価額が異なる場合があります。

倍率は、国税庁のホームページで確認することができます。

建物の算出方法

一般的な既存の建物は、下記の計算式で評価額を算出します。

固定資産税評価額×1.0=建物の評価額

また、建物の建築最中に相続が発生するケースも稀にあります。未完成の不動産には、固定資産税評価額が定められていないため、相続した不動産が建築中の場合は、下記の計算式で評価額を割り出します。

費用現価の額×70%=評価額

費用現価の額とは、課税時期(被相続人の死亡日)までの建築費用額を、課税時期の価額に引き直した合計額です。

まとめ

この記事では、不動産相続の評価額について知っておきたい5つの基礎知識と評価額の算出方法についてご紹介しましたが、参考になりましたでしょうか?

不動産の評価額は、土地の価値を示すものです。相続税の税額を算出する際に相続した各遺産を金銭的に評価する必要があり、金銭的に評価することができない土地や建物などの不動産はご紹介した算出方法を用いて、評価額を算出することができます。

税理士や不動産鑑定士による無料相談を行っている会社もあるため、評価額を算出するのに苦戦している方、相続税に関して不明点がある方は、相談してみるのがおすすめです。

適切な不動産の評価額を算出して、追加の支払いや無駄な損失がないようにしましょう。

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