家売却の相場に影響する要素と5種類の売り方を紹介
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新居への引っ越しや生活資金の確保を目的に家売却でお金を得るという方法がありますが、売却相場がどのように決まっているか皆さんはご存知ですか?
売却相場は築年数や立地条件などが大きく影響しますが、どのような方法で不動産を売却するかでも価格に差が生まれてきます。
そこで、この記事では家売却の相場に影響する要素をご説明した上で、5種類の家の売り方について解説していきます。
家売却の相場に影響する要素
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家の売却を計画されている方は、売却相場がどのように決まるのか、そしてどのような影響を受けて価格が変動するのかを理解しておきましょう。
家売却の相場推移
国土交通省が公表した「不動産価格指数」による住宅の種類別の相場は、2009年から2020年にかけてマンションが右肩上がりになっています。
住宅総合もやや右上がりで、戸建てや住宅地は相場はほとんど変わらず横ばいの状態が続いています。
相場推移はあくまでも平均であり、家の相場は物件が存在する立地や建造物の築年数などが大きく影響してきます。
過去の取引事例が影響する
不動産の売却価格に関わる要素はいくつかありますが、売却を希望する物件と似たような物件が過去にどのくらいの金額で売却成立したのかという取引事例から決定されるケースは多くあります。
過去の取引事例をもとにした取引価格は「実勢価格」と呼ばれ、相場によく使われるので覚えておきましょう。
築年数と資産価値は反比例の関係
ご想像の通り、家の築年数は古ければ古いほど売却相場が下落していきます。
家の資産価値ができるだけ高い状態の時に売却することがベストですが、築年数における売却価格の下落幅は住宅の種類によって変わってきます。
国土交通省が公表した「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」によると、下落幅が最も大きいのが木造戸建住宅で、築10年までに資産価値が半分ほどに下がり、築15年には資産価値が20%程度まで激減してしまいます。
築25年以上の戸建ては古家として扱われることが多く、この場合は資産価値がないと査定されるので注意しましょう。
一方、マンションの築年数における資産価値の減少は1年で価値が急落する傾向にありますが、減少の幅は木造戸建住宅と比べてゆるやかになります。
マンションの場合、築10年目でも資産価値は70%〜80%を維持し、築25年目で半分程度の価値になります。
ほぼ同条件の物件が2つあった場合、築年数が新しい方が選ばれやすいというのはごく当たり前のことになりますが、資産価値を考えた良い売却のタイミングを失わないようにしましょう。
立地における売却相場は都心部が優遇
不動産が存在する立地は、売却相場に大きな影響を与えています。
特に、日本の三大都市圏の中心は人口が集中しており、土地の需要の高さから地価が上昇して家の売却相場も高くなります。
一方で、人口減少が進んでいる地域では地価が下がり、併せて家の売却相場も下がる傾向にあります。
不動産流通機構により公表された、令和2年2月時の首都圏と近畿圏の戸建て物件平均価格がこちらになります。
立地 | 家の平均価格 |
東京都 | 4,510万円 |
神奈川県 | 3,558万円 |
千葉県 | 2,411万円 |
埼玉県 | 2,460万円 |
大阪府 | 2,097万円 |
兵庫県 | 2,426万円 |
京都府 | 2,661万円 |
奈良県 | 1,611万円 |
立地による売却相場は都心部が優遇されており、東京都と大阪府でも約2,400万円という大きな差が生まれます。
そのエリアに住んでいる人口が売却相場に影響することは多いですが、オリンピックなどの世界大会や万博などの大規模なイベント開催地で相場が上がるケースもあります。
景気による変動
築年数や立地だけではなく、景気による家売却の相場変動は避けることはできません。
不動産の価格は株価と連動して上下するため、景気が良い時に家を売るというのは有効な手段です。また、不動産の需要が高まる低金利施策の期間は、取引増加から相場が高くなる傾向があることを覚えておきましょう。
家売却の種類と相場比較
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家の売却相場は過去の取引事例や築年数、立地などに加えて景気が影響しますが、家の売り方によっても価格差が生まれます。
ここからは、5種類の家の売り方と相場の特徴についてご説明していきます。
一般的な不動産売却
家を売却する場合、自力で買主を見つけることは難しいため仲介となる不動産会社と媒介契約を結んで売却を進めるのが一般的です。
不動産売却の媒介契約は、以下の3種類に分類されます。
- 専属専任媒介契約:1つの不動産会社とのみ媒介契約を結び、自己発見取引はできない
- 専任媒介契約:専属専任媒介契約と違い、自己発見取引が可能
- 一般媒介契約:複数の不動産会社と媒介契約が可能で、自己発見取引の制約もない
一般的な不動産の売り方となる媒介契約は、依頼した不動産会社の販売活動により市場相場に近い価格で売却することが可能です。
自分の意思で不動産売却ができるため、資産価値が高い適切なタイミングを選んで家を売ることができる方法となります。
任意売却
人生で一番大きな買い物と言われる住宅ローンですが、仕事の収入減や突然の病気などでローンの返済が難しくなることもあります。
そんな時に役立つのが、住宅ローン返済が残っている状態でも債権者との合意を得て家を売ることができる任意売却です。
任意売却は、後述で説明する競売にかけられた状態でも家を売却することができ、売却で得たお金を滞納していた住宅ローンに充てることができます。
任意売却も不動産会社を仲介して家を売る流れになり、市場相場に近い価格で家売却が可能ですが、任意売却が認められる条件は一般的な不動産売却よりも厳しく、住宅ローンの滞納や離婚などの理由が必要になってきます。
競売にかけられて強制的に家を失ってしまう前の最後の切り札になるため、任意売却の成功実績が多数ある不動産会社を選ぶことが推奨されます。
競売
競売は、住宅ローンの返済を滞納し続けている債務者に対して、債権者が裁判所を通して法の力で強制的に債務者の不動産を売却させ、売却で得たお金を住宅ローン返済に回すという制度です。
住宅ローンを3ヶ月〜6ヶ月以上滞納し続けた場合、債権者から返済を督促する期限の利益の喪失の通知が届き、それでも返済が完了しない場合に債務者は競売にかけられてしまいます。
競売にかけられた家は、落札希望者による入札を得て売却額が決まり、売却許可が下りた後に売却代金が債権者に分配されます。
競売の売却価格は、一般的な不動産売却と同じように建物の構造や築年数、立地などから決定されますが、売却価格は市場相場の70%程度というかなり安い価格になります。
立地が悪い物件の場合は、市場相場の60%程度で落札されることもあり、一般の不動産売却や任意売却と大きな金額差が生まれてしまいます。
競売は債務者にとってリスクだらけとなるため、できるかぎり避けたい不動産売却の方法であると言えます。
リバースモーゲージ
リバースモーゲージは、家や土地などの不動産を担保にして銀行から融資を得て、債務者の死亡時に担保となっている不動産の売却により返済を行う制度です。
年金生活が安定しない高齢者に支持されている融資の方法で、生きている間は家を手放すことなく毎月の新たな収入を得ることができます。
元金は死亡時に一括で返済されるため、手続きで支払うのは毎月の利息分のみです。
また、取り扱い機関によっては、以下のような資金用途に限定されてしまいます。
- 住宅ローンの返済
- 老後の生活資金
- 老人ホームへの入居金
- 自宅のリフォーム費用
- 趣味への活用
- 子供への生前贈与
リバースモーゲージは、存命中に融資限度額に到達してしまうリスクが生じます。家の売却価格よりもローンなどの借入金残額が高かった場合、家を失い、借入金が残った状態の生活を続けなければいけません。
長寿がリスクとなってしまうリバースモーゲージの利用を検討する場合は、冷静な判断が必要です。
リースバック
リースバックは、所有権を持つ自宅などの不動産を第三者の不動産業者や投資家に売却し、新たに賃貸契約を結んで自宅に住み続けられる制度です。
高齢者向けのリバースモーゲージは不動産を担保とした融資になりますが、リースバックは生前の不動産売却となり、売却で得たお金の使い道に制限はありません。
リースバックを利用することで自宅の所有権は第三者へ渡ってしまいますが、資金に余裕ができた後に買い戻しをする契約も結ぶことができます。
短期間でまとまったお金を得られるため、住宅ローンの返済だけではなく、事業資金の調達や生活資金の確保という目的でも活用できます。
リースバックはさまざまなメリットがありますが、売却相場は一般的な不動産売却価格の60〜80%程度になることが多いです。
リースバックを利用した家の売却を検討する際は、複数の不動産査定ができるポータルサイトの利用をおすすめします。
まとめ
家売却の相場に影響する要素と売却の種類や相場についてご紹介しましたが、参考になりましたか?
家をできるだけ高く売るためには、資産価値が高いうちに不動産売却を検討することが大事になります。また、家を手放さずに資金調達をすることができるリースバックも、現在の経済的な悩みやライフスタイルに合わせて活用できるのでおすすめです。
将来を考えた生活資金の確保を早いうちに計画しておくことは、ゆとりのある老後の生活をつくる第一歩になります。
今後、家の売却を検討される際は、この記事でご紹介した家売却の種類や売り方による売却相場などの情報をぜひお役立てください。