家の売却にかかる5つの費用となるべく安く抑えるためのポイント
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長い人生の中では、様々な理由で自宅など保有する不動産を手放すという機会を経験することもあると思います。
不動産の売却は一般的な商品の売買とは異なり、不動産売却を行うための手続きに必要な様々な費用が発生します。
売却するときになって慌てないためにも、事前にどんな費用が発生するのかを知っておくと手続きをスムーズに進めることができます。
この記事では、自宅などの不動産を売却するときに必要な費用と、なるべく安く抑えるためのポイントについてご紹介します。
不動産の売却で発生する費用
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House.
不動産を売却する際には、仲介手数料や印紙税など様々な費用が発生します。
まずはどんな費用が発生するのか、それぞれの費用の大まかな金額と詳細についてご説明していきます。
売却のためにかかる費用一覧
不動産を売却するためには以下のような費用が発生します。
(不動産売却で発生する費用)
- 仲介手数料
- 印紙税
- 抵当権抹消費用
- 住宅ローン返済費用
- 不動産売却益にかかる税金(譲渡所得税、住民税、復興特別所得税)
(必要に応じて加算される費用)
- ハウスクリーニング代金
- 測量費
- 契約書類発行費
仲介手数料
仲介手数料とは、不動産の売却を不動産業者に依頼したときの仲介業務に必要な費用のことを指します。
業者によっては、物件を宣伝する広告費や購入希望者と交渉するためにかかる出張費などが別途請求される場合もあるので、どんな内容が仲介手数料に組み込まれているか確認しておくと良いでしょう。
支払いは、不動産物件の売買契約を結んだときに仲介手数料の半分の額を支払い、残りは物件の引き渡しが終わり、売却が完了した際に支払うのが一般的です。
仲介手数料は売買価格によって変動し、以下の計算式で上限額を求めることができます。
- 売買価格が200万円以下の場合
(売却価格 × 5%)+ 消費税10%
- 売買価格が200万円を超え400万円以下の場合
(売却価格 × 4% + 2万円)+ 消費税10%
- 売買価格が400万円を超える場合
(売却価格 × 3% + 6万円)+ 消費税10%
仲介手数料は下限額が定められておらず、不動産業者で自由に設定することができますが、相場としては上限いっぱいの金額を採用している業者が多いのが現状です。
印紙税
不動産売却の際に、作成する不動産売買契約書に貼る印紙にかかる税金のことで、売買金額に応じた価格の印紙を貼り消印することで納税したと認められます。
印紙税は、売買価格によって決められており、2022年3月31日までに作成された契約書に貼る印紙については軽減税率の適用を受けることが可能です。
軽減税率適用後の大まかな印紙税は以下のようになります。
- 50万円超〜100万円以下:500円
- 100万円超〜500万円以下:1,000円
- 500万円超〜1,000万円以下:5,000円
- 1,000万円超〜5,000万円以下:1万円
- 5,000万円超〜1億円以下:3万円
万が一印紙を貼り忘れてしまった場合は、3倍の額の過怠税が課されてしまい、印紙に消印(印鑑などの割印)が無かった場合は、印紙額と同額の税金を納める必要が発生してしまうので注意しましょう。
抵当権抹消費用
抵当権は、住宅ローンを組むときに金融機関に不動産を担保として設定する権利のことで、抵当権が設定された不動産は、住宅ローンを完済しなければ勝手に売却することはできません。
住宅ローンの完済時には、抵当権を抹消し登記情報を変更する手続きが必要となりますが、その際にかかる手数料が抵当権抹消費用となります。
1つの不動産につき1,000円の登録免許税で、抵当権の抹消を個人として行うことも可能ですが、重要な手続きなので司法書士へ依頼する方が安心です。
司法書士へ依頼する場合は、登録免許税と司法書士への手数料を合わせて2万円〜3万円が一般的な価格となりますが、依頼先によって金額が異なるので事前に問い合わせておくと良いでしょう。
住宅ローン返済費用
売却する物件の住宅ローンが残っている場合は、売却する前に住宅ローンを完済する必要があります。
繰り上げして一括返済するためには金融機関への事務手数料が必要で、金融機関の窓口、電話、インターネットのどの方法で返済するかで手数料が異なり、通常はインターネット経由での返済事務手数料がお得な場合が多くなっています。
例)三井住友銀行:窓口21,600円、電話10,800円、インターネット5,400円
三菱東京UFJ銀行:窓口32,400円、電話21,600円、インターネット16,200円
不動産売却益にかかる税金(譲渡所得税、住民税、復興特別所得税)
不動産売却で利益が生じた場合は所得を得たとみなされ、譲渡益に対する譲渡所得税、住民税、復興特別所得税を確定申告の際に支払う必要があります。
譲渡所得税と住民税については、不動産の所有期間の長さによって長期譲渡所得と、短期譲渡所得に分けられ、税率は長期譲渡所得の方が安く設定されています。
- 長期譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える)
所得税:15%、住民税:5%、復興特別所得税:0.315%の合計20.315%
- 短期譲渡所得(譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下)
所得税:30%、住民税:9%、復興特別所得税:0.63%の合計39.63%
譲渡対象となる不動産の所有期間は、売却をした年の1月1日時点を判断基準とするので、所有期間が5年前後の方は注意して適切な販売時期を見極めると良いでしょう。
必要に応じて発生する費用
売却する不動産の状態によっては、更に以下のような費用が発生する可能性があります。
- ハウスクリーニング代金
不動産売却時に、物件を綺麗な状態にしておくことで評価額を高める事ができます。
物件の広さなどで金額は異なりますが、2LDK〜3LDK程度で4万円〜5万円が相場となり、居住中に実施する場合は、荷物の移動など作業内容が増えるため1万円〜2万円程度加算される場合があります。
- 測量費
土地の測量は必須ではないものの、不動産の売却のときに境界が明確ではないことによるトラブル防止の観点から、買主から境界確認書や確定測量図を求められることがあります。
測量費は50万円〜100万円程かかるため、境界が定まっていない不動産などの場合は注意しましょう。
- 契約書類発行費
不動産の売買契約を結ぶ際、住民票や固定資産税評価書、境界確認書などの書類の提示を求められる場合があり、必要な書類を用意しなければいけません。
書類の発行手数料は種類によって異なりますが、相場として1枚300円程となります。
不動産売却にかかる費用を抑えるポイント
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不動産を売却する際に発生する費用は、決して安い金額ではありません。
仲介手数料や税金などの売却にかかる費用を、なるべ安く抑えるポイントについてここからご紹介します。
良心的な不動産業者を選ぶ
不動産業者によっては、仲介手数料を安く設定している業者もあります。
しかし、仲介手数料の安さだけでは判断せず、どんなサービスが含まれるのか、別途広告費などの請求がないかなどトータルで優れたサービスを受けることのできる業者選びをすることがとても大切です。
仲介手数料が上限額に設定されている場合などでは、値引き交渉も可能ではありますが、不動産業者に熱心に販売活動をしてもらうことも高く売却するには重要な要素です。
不動産業者にもメリットがあるように、媒介契約を結ぶ際に専属専任媒介契約を選び、1社のみに仲介を依頼するといった意思表示を示すことも値引き交渉をする場合においては有効な手段です。
税金の優遇が受けられる制度を利用する
不動産の売却の際に適用される特例や特別控除などを上手に活用することも、売却にかかる費用を軽減するために抑えておきたいポイントです。
不動産の売却で利用できる主な特例は以下のようなものがあります。
- 3,000万円特別控除
居住用財産(マイホーム)であれば、一定の条件を満たすことで課税対象となる売却益から3,000万円を差し引くことができる特例です。
この特例は、売却益が3,000万円以下であれば税金が掛からなくなるため是非利用したい特例です。
- 10年超所有軽減税率の特例
所有期間が10年以上の物件に対して税金が安くなる制度で、3,000万円の特別控除と併用をすることも可能です。
課税譲渡所得が6,000万円以下かそれを超えるかで税率が変わり、6,000万円以下の部分については長期譲渡所得の通常20%の税率を14%に軽減することができます。
特例を受けるためには確定申告が必須となり、また特例ごとに適用を受けるための条件が用意されているので事前に確認しておきましょう。
まとめ
不動産を売却する際に必要な費用と、なるべく安く抑えるためのポイントについてご説明してきましたがいかがでしたか。
不動産を売却する際には多くの費用がかかるため、所有する不動産にどれくらいの費用が発生するのかを事前に把握しておくことはとても重要です。
売却にかかる費用を抑えるためにも業者選びや事前の準備には時間をかけ、是非この記事を参考にスムーズな売却に向けて取り組んで頂ければ幸いです。