確定申告は必要?不動産売却での申請方法や手順を解説!
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公益財団法人 生活保険文化センターの調べによると、夫婦2人の老後生活で必要な最低日常生活費は月額平均で22万円となっています。
そして同調査によると、さらに老後の旅行や趣味などを楽しむゆとりのある生活に必要な生活費は、月額平均で34.8万円となっています。
引退後、年金だけでの生活に不安を抱えている方々が一つの手段として考えるのが「不動産売却」です。
いざ建物や土地を売ろうとした時に、確定申告は必要なのか?
ご自身で全てを調べてまとめるには、なかなかハードルが高いですよね。
今回はそんな「不動産売却にまつわる確定申告について」手始めに知っておきたいことを、簡潔にご紹介します。
また記事の後半では「本当に今の家を手離さなければいけないの?」とお悩みの方に、今話題の「リースバック」という選択肢をご紹介させていただます。
不動産売却の際に確定申告は必要か
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不動産売却の際の確定申告ですが、必要な場合と不要な場合があります。必要な場合と不要な場合について、それぞれ解説していきます。
確定申告が必要な場合
確定申告とは毎年2月中旬から3月中旬に、前年の1年間に得た所得の合計金額を現在の住所地を管轄する税務署に申告し、所得に応じた税金を納税するという手続きです。
法人で働いた際の所得であれば、会社側が確定申告を行っているため自分で申告手続きを行う必要はありませんが、不動産売却で譲渡所得が発生した場合は、自分で確定申告の手続きを行う必要があります。
また、譲渡所得があるにもかかわらず期限内に確定申告をしなかった場合、無申告加算税と延滞税という罰金が科せられてしまうため、期限内に確定申告をすることがとても重要になってきます。
延滞税の税率は国税庁ホームページで確認できます。
確定申告が不要な場合
不動産を売却した際に譲渡所得がマイナスの場合には、税金が発生しないので確定申告を行う必要はありません。
しかしその場合でも確定申告をしておけば、その他の税金を節税できる特例を利用でき、税金が戻ってくる可能性があるため、どちらにしても確定申告をしておいた方がメリットがあるといえます。
不動産売却後の確定申告に必要な書類と手順
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つぎに、譲渡所得が発生した場合と、譲渡所得がマイナスになった場合の確定申告の申請に必要な書類とその手順をご説明します。
譲渡所得が発生した場合
譲渡所得が発生した場合は、納税のために確定申告をする必要があります。
⒈ 必要書類の準備
以下の6点の書類を準備します。
- 確定申告書第一表、第二表(B様式)
- 申告書第三表(分離課税用)
- 譲渡所得の内訳書(土地・建物用)
- 売買契約書のコピー
- 建物、土地の登記事項証明書
- 領収書
⒉ 譲渡所得税の計算
以下の3点を利用して計算します。
- 譲渡収入金額(土地・建物の譲渡代金、固定資産税・都市計画税の精算金)
- 取得費用(土地建物の購入代金と取得に要した費用を合計した金額から、建物の減価償 却費を差し引いた金額)
- 譲渡費用(売却するために直接かかった費用)
譲渡所得の計算式
【 譲渡所得 = 譲渡収入金額 -( 取得費用 + 譲渡費用)】
譲渡所得税の計算式
【 譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率 】
譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間によって異なります。
売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下なら短期譲渡所得となり税率は39.63%、所有期間が5年を超えていれば長期譲渡所得となり税率は20.315%です。
⒊ 申告書類の提出
必要書類に記入後、税務署に以下のいずれかの方法で申告書類の提出を行います。
- 郵送等で、所轄の税務署に送付する
- 所轄の税務署へ直接持参する
- 国税電子申告・納税システム(e-Tax)で申告する
譲渡所得がマイナスの場合
譲渡所得がマイナスの場合でも、節税のために確定申告をするとよいでしょう。
以下の3点の申請書類を準備し提出します。
- 確定申告書第一表、第二表(B様式)
- 居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)
- 居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書
その他の特例
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さいごに、譲渡所得が発生した場合と、譲渡所得がマイナスになった場合に利用できる特例をご紹介します。
譲渡所得が発生した場合
譲渡所得が発生した場合、控除や税率の軽減を利用できる特例があります。
居住用財産の3000万円特別控除
マイホームの売却なら譲渡所得から3000万円まで差し引けるという特例です。
その際の計算式は【 譲渡所得税 =(譲渡所得 – 3000万円)× 税率 】となります。
控除は1人につき最大3000万円なので夫婦の共有名義物件であれば、さらに合計6000万まで控除が可能です。
長期譲渡所得の軽減税率
マイホームの所有期間が10年を超えていれば、税率が通常20.315%(長期譲渡所得)のところ、さらに譲渡所得の内6000万円以下の部分が14%になる「軽減税率」も適応されます。
こちらは3000万円特別控除との併用も可能です。
譲渡所得がマイナスの場合
譲渡所得がマイナスの場合でも、損益通算や控除が適応する特例があります。
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
この特例は、売却の損失と他の取得との間で損益通算ができるものです。
さらに、その年の所得から引ききれなかった損失金額があれば、翌年以降最長3年間の間所得から繰り越して控除することができます。
確定申告時に分からないことがあった場合
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確定申告時に分からないことがあった場合、下記の3つの方法で調べることができます。
⒈ 税務署に尋ねる
所轄または最寄りの税務署に相談することができます。
電話で相談する場合は、電話の音声案内に従って番号を選べば電話相談センターにつながります。
直接税務署にうかがって相談する場合は、事前予約制となっていますので、所轄税務署に電話をしてあらかじめ予約をしましょう。
⒉ 国税庁のホームページを調べる
インターネットの使える環境があれば、国税庁のホームページ内で調べることができます。
ホームページ内にある「タックスアンサー」を利用し、「所得税」をクリックすれば、よくある質問への回答を得ることができます。
⒊ 無料の窓口相談を利用する
確定申告の時期になると、税理士による無料の相談窓口が税務署に設置されます。
また、税務署の「確定申告書作成コーナー」に必要書類を持参すれば、その場で職員のアドバイスを受けて、申告書を作成・提出できます。
こちらは予約不要ですが、混み合っていることが多いため時間に余裕をもって行くことをおすすめします。
自宅売却後も住み続けられる「リースバック」とは
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老後の資金準備や住宅ローンの返済に不安を感じ不動産売却をご検討中の方には、リースバックという選択肢もあります。
ただ売却すれば不動産を失ってしまうことになりますが、リースバックであれば不動産を売却後も住み慣れた自分の家に住み続けることが可能です。
リースバックとは、リースバック業者に自宅を売却し、その買主と賃貸借契約を締結して今まで通り自宅に住み続ける方法です。
「老後資金は心配だけど、今住んでいる慣れ親しんだ自宅から引っ越すことに抵抗がある」という方におすすめです。
リースバックには
- 愛着のある家にそのまま住み続けられる
- 将来的に買い戻せる可能性がある
- すぐに現金化できる
- 引っ越しの心配が不要になる
- 周囲に売却したことを知られずに済む
といった様々なメリットがあります。
しかし、下記のようなリスクもあるため、リースバック業者を選ぶ際には条件のいい会社を選定することが大切です。
- 売却金額が相場以下になる可能性がある
- リース料(家賃)が相場より高くなる可能性がある
- 買い戻しの際に、売却時よりも高い価格となる可能性がある
また、リースバックはご家庭によって向き不向きがあります。
- 体力面で引っ越しが難しい
- 子どもの学区を移したくない
- ローンや借金などでまとまったお金が必要
- 自宅を相続する相手がいない
といった方々に、リースバックはおすすめですが
- ローン残債が多く返済の目処が立たない
- 自宅にとくに強い思い入れがない
といった方々は、リースバックよりも高い売却収入を得られ、その資金で住み替えも検討できる一般的な売却も一案です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
まだ仕事は続けているけれど退職後にもローンが残っていて老後が心配、引っ越しをしたいけれどローンが残っていて難しい、生活費や医療費がかさみ今後の資金繰りが心配、など不動産を売却するにはさまざまな理由があります。
今まで会社で所得を得てきた方々にとって、不動産売却の際の確定申告は初めての経験で少し分かりにくいかもしれません。
税理士に依頼するなどの方法もありますが、やはり費用のことを考えると、自身で申請することで一番安く済ませることができます。
罰金などの発生で損をしないためにも、事前にしっかり調べて行動する必要があります。
また、後半でご紹介させていただいた「リースバック」も、老後の生活資金を確保しながら今の家に住み続けることができる方法としてとても有力です。
ぜひご自身に合った方法で、今後の住まいとの向き合い方をご検討ください。