差し押さえ物件とは?競売の基礎知識と3つの注意点を紹介

差し押さえ物件 競売

不動産の投資やマイホームを検討している方は、差し押さえ物件や競売というワードを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

一般の物件よりもお得に購入でき、他にもさまざまなメリットがある差し押さえ物件。

この記事では、そんな差し押さえ物件を含めた競売の基礎知識、買い手側が知っておきたい競売物件について、購入前に抑えておきたい3つのポイントについてご紹介します。

差し押さえ物件の購入を検討している方、競売の知識を身につけたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

差し押さえ物件と競売の基礎知識

差し押さえ物件 競売

財産を差し押さえられることは、人生でそう多く経験することではありません。

そのため、「差し押さえ物件って何?」「どのような流れで差し押さえられるの?」などの基本的な内容について知らない方もいらっしゃると思います。

ここからは、差し押さえ物件について理解できる競売の基礎知識についてご紹介します。

競売とは?

競売とは、売り主が価格を決めずに不動産を売り出し、購入したい人が各々に希望価格を申し出る販売方法です。オークション同様、最終的に売却期間中に販売価格内で最高価格を申し出た人が購入することができます。

日本では、住宅ローンの返済ができず滞納した場合に債権者の申し立てによって、地方裁判所が強制的に競売を行うケースがあります。

お金を貸している金融機関(債権者)は、お金を返してもらう権利(債権)があり、住宅ローンを支払っている債務者が返済できない場合に、債務者の私的財産を差し押さえ、競売によって売却したお金を回収できるという仕組みがあります。

差し押さえ物件について

差し押さえ物件とは、債務者が守るべき返済や納めるべき金銭の支払いをせず、滞納している場合に、滞納者が所有している不動産を差し押さえ、強制的に売却した物件です。

差し押さえ物件には、2種類があります。

 

  • 競売物件:住宅ローンの返済ができない際に競売によって売却させられる物件
  • 公売物件:住民税や相続税などの税金の支払いを滞納した際に売却させられる物件

差し押さえされるのは、住宅や土地などの不動産の他にも、給料や車などの動産や債権が対象となり、私的財産の中には差し押さえできないものや細かいルールも存在します。

競売になるまでの一連の流れ

競売になるまでの一連の流れを5つのステップに分けて解説していきます。

1.住宅ローンの返済を一括で求められる

不動産が差し押さえされる最も多い原因は、住宅ローンの滞納です。

住宅ローンの返済を1〜2ヶ月程滞納していると督促状が届き、支払いを催促されます。そのままローンの返済をしないと、期限の利益喪失を迎え、分割での支払いの権利を略奪され、金融機関から一括での返済を求められます。

既に、分割返済ができていないため一括返済できるケースは、ほぼありません。

2.保証会社が代弁弁済する

一括返済できなかったローンの残債は、住宅ローンを組む際に契約した保険会社が肩代わり(代弁弁済)します。

保険会社が代わりに返済すると、金融機関から保険会社へと債権者が移り、金融機関と同様に保険会社から一括返済を求められます。

もちろん保険会社に対してもローンの返済ができないため、競売という手段をとられます。

3.裁判所から競売開始決定通知書が届く(=差し押さえ)

保険会社が裁判所に競売を申し立てると自宅に「競売開始決定の通知書」が届きます。

また、このタイミングで私的財産の差し押さえが発生するため、不動産を含めた財産を売却することができなくなります。このように差し押さえられた不動産を差し押さえ物件と呼びのちに競売物件と呼ばれます。

4.現状調査が行われる

競売開始決定の通知書が届くと、対象となる不動産の現状調査が行われます。

現状調査とは、対象となる不動産の状態を確認するための調査で、この調査を基に作成された評価書を裁判所に提出し、債権者の同意を得ると入札が始まります。

一般的な物件の売却とは異なり、不動産の情報が把握できない状況で売却が始まります。

5.入札の実施・売却決定

入札された競売物件は落札されると、買い手側の審査を通過後に売却が決定します。

それ以降の流れは、一般の不動産売却の流れと同様、抵当権の抹消と登録や所有権の移行などの手続きに移ります。

買い手側が知っておきたい競売物件について

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住宅ローンの滞納によって財産である不動産を強制的に差し押さえ、売却された競売物件。

これから長期的に暮らしていくマイホームを購入するのに、競売物件の良いところは何?と疑問に思ってしまう方もいらっしゃると思います。ここからは、そんな差し押さえられた競売物件のメリットや購入方法をご紹介します。

競売物件のメリットとは?

競売物件には、買い手側にとって嬉しいメリットがいくつかあります。

購入費用を抑えられる

競売物件の1番のメリットは、購入費用を抑えられるところです。

競売物件は、一般の物件には無いリスクを伴うため売却前にあらかじめ売却価格が調整(競売市場修正)されており、市場相場に対して5〜7割程度の価格で売却されています。場合によっては、それ以上に安価で購入できる可能性もあるため、非常にお得です。

シンプルな手続きで負担がかからない

競売物件は、購入の際の手続きがシンプルなので買主側の負担を軽減することができます。

競売物件を購入する際に必要な「所有権の移転登記」や「抵当権の抹消登記」などの面倒な手続きは裁判所が行ってくれるため、買主側は簡潔な手続きで済み負担がかかりません。

また、競売物件は一般の物件のように購入時に行う、売買契約を交わした後に代金を精算するなどの複雑な手続きを行う必要がありません。このように、競売物件は買主側の手続きにかかる負担を軽減できるメリットがあります。

多様な物件を見つけることができる

競売物件は、市場では見つかりにくい珍しい多様な物件が多く、一般の物件よりも購入する際の競争率も低いため、高い確率で購入することが可能です。

競売物件は一般的に広告が出ておらず、住宅ローンの滞納は一見して判断できるものではないため、自らの情報収集が理想のマイホームを見つけるキーポイントになります。

競売物件の購入方法

競売物件の購入方法は、インターネット上の専用サイトで物件を見つける方法と不動産会社から紹介される方法の2通りあります。

不動産競売物件情報サイト「BIT」では、全国の不動産競売にかかる物件情報が公開されています。入札から引き渡しまでの入札情報も公開されているため、スムーズに手続きを進めることができます。

もう1つは、仲介会社からマイホームを探している際に「差し押さえがついている」という条件付きで紹介されて、購入に至るケースがあります。

競売物件を購入する前に抑えておきたい3つのポイント

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多様な物件が多く、市場相場より安価にマイホームの購入ができる競売物件。

ここからは、そんな競売物件の購入を検討している方が知っておくべき、競売物件のデメリットや手続きの際の注意点をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

競売物件のデメリット

前述したように競売物件にはメリットがありますが、購入を検討しているのであれば、反対に競売物件のデメリットについても理解しておく必要があります。

競売物件で起こりうるデメリットを3つご紹介します。

契約後のキャンセルや損害賠償請求ができない

競売物件は、一般の物件とは違って購入前の建物の内見ができないため、明け渡し後に内部の欠陥が見つかるケースも少なくありません。

シロアリにより建物が腐食されていたり、雨漏りがあったり、欠陥が見つかったとしても、競売物件は購入後に売買契約の取り消しや損害賠償の請求をすることができません。そのため、買主である自分がリフォーム代や修理代を支払うことになる可能性があります。

また、競売物件は、裁判所が定めた「期間入札」という期間内に最も高い価格を出した者が購入できるオークション形式のため、入札後の心変わりやトラブルが起きても、取り消しができません。購入前にその点も踏まえて、慎重に判断するといいでしょう。

物件の引き渡しが保証されない

一般の物件は、代金を支払うタイミングで鍵を受け取り、物件を所有することになります。しかし、競売物件は、名義の書き換えのみが行われるため、引き渡しの際に物件の占有者や所有者が居座っていた場合、落札した本人で立ち退き交渉をしなければなりません。

このように、購入後から物件の引き渡しまでに時間がかかったり、対人トラブルに巻き込まれるケースがあることを覚えておきましょう。

専門家への業務委託を依頼する

前述したように競売物件にはさまざまな問題が起こる可能性があるため、手続きに不安を感じる方は、豊富な知識や経験を持つ専門家に業務の代行を依頼することをおすすめします。

代行を依頼すると手数料がかかってしまいますが、専門家が正しい処理をとってくれるため、後々のトラブルが起こることも防ぐことができます。また、分からないことがあった場合にも気軽に相談ができるため安心です。

公売物件も検討してみる

競売物件の購入に踏み出せない方は、税金を滞納した場合に差し押さえられた公売物件を検討するのもおすすめです。物件の購入にかかる費用以外は、競売物件と同様のメリットがあります。

金銭を滞納することで不動産を差し押さえられる公売物件と競売物件ですが、主な違いは、管轄と債権者の違いがあります。

競売物件は、裁判所の管轄で個人や民間企業が債権者になるのに対して、公売物件は、国や自治体が管轄し、国税局や自治体が債権者となります。

公売物件の売却値は一般の物件と同じくらいになってしまうため、費用を抑えることはできませんが、国が携わるため、安心して契約することができます。

まとめ

差し押さえ物件を含めた競売の基礎知識、買い手側が知っておきたい競売物件についてと、購入前に抑えておきたい3つのポイントについてご紹介しましたが参考になりましたか?

シンプルな手続きで購入費用を抑えることができる競売物件は、買い手側に嬉しいメリットがありますが、デメリットについても理解してから購入を決断する必要があります。

今後暮らしていくマイホームで生活を始める前に、厄介なトラブルに巻き込まれることやリフォーム代などの無駄な損失を出してしまい、購入後に後悔しないように、競売についてある程度の知識を身につけておくことをおすすめします。

ぜひ、参考にして競売物件の購入を検討してみてくださいね。

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