担保不動産の競売申立てとは?住宅ローンの返済方法とその仕組み

担保不動産競売申立

住み慣れた住宅のローンの返済が滞ってしまったとき、裁判所から突然「お住まいの物件は売りに出されることが決まりました」という知らせが届いたらあなたはどうしますか?

想像してみてください。多くの人は驚き「どこに相談したら良いのだろうか」「どうしたら債務の返済ができるのか」と悩むはずです。

順調に返済が進んでいる方も「家族の冠婚葬祭のためにお金が必要になった」「病気になって収入が減少した」という場合に住宅ローンを払い続けることができるのかという不安はあると思います。

不動産の売却によって、債務の返済・資金を確保する方法がいくつかありますが、この記事では「競売」に関して詳しく説明していきます。

万が一不動産を手放すことになったときのためにも、競売の仕組みについて知っておいて損はないでしょう。

低金利で長期ローンが可能な担保型住宅ローンがさまざまな金融機関から打ち出されています。

上手に使えば便利な仕組みですが、住宅を担保にしてローンを契約していて、債務の返済にお悩みがある方にはぜひこの記事を読んでいただきたいと思います。

担保不動産の競売とは

担保不動産競売申立

不動産の債務に滞納が生じるといったいどのような手続きが行われるのか、説明していきましょう。

住宅ローンを設定する際に銀行などの金融機関は、返済を確実にしてもらうために、土地・建物を担保にとり「抵当権」という権利を設定します。

担保不動産の競売とは、債務者が債権者への支払いが困難になったとき、抵当権によって裁判所が不動産を差し押さえて売却し、その代金を債権者に分配して貸付金を回収する手続きのことを言います。

司法統計情報によると、毎年およそ15,000件を超える不動産が抵当権の実行により競売にかけられています。

これだけ多くの物件が競売によって売買されていることに驚いた方もいるのではないでしょうか。

競売は、市場の2割から8割程度の価格で購入できるため、不動産の賢い買い方のひとつとして知られています。

しかし、ほとんどは債務者の意思に反する売却であり、売り手のメリットはとても少ない売却法です。

売却額が安くなるため債務の完済とその後の生活に必要な額の資金を調達することができません。

そのうえ住宅を手放すことになってしまうので、住宅ローンの問題を解決するに至らないことがあります。

また、通常の不動産売買の取引と異なり不動産会社の仲介がないために、購入後のトラブルが起きやすいという点が売り手のみならず買い手にとってもデメリットといえるでしょう。

競売の申立ての流れ

担保不動産競売申立

それでは、競売の流れについて簡単に説明していきたいと思います。

競売の手続きはさまざまな事情で複雑になることがありますが、一般的には以下のような手順で行われます。

  1. 債権者による競売の申立て
  2. 裁判所による競売開始の決定
  3. 売却基準額の決定(現況調査による3点セットの作成)
  4. 売却の公告(3点セットの情報公開・閲覧)
  5. 入札期間
  6. 入札終了と開札期日
  7. 売却許可決定
  8. 代金支払いと所有権の移転

住宅ローンの返済が一定期間滞ると、銀行などの債権者は抵当権を実行して裁判所に対して申立てを行います。

その後、裁判所から「競売開始決定通知」が届き、続いて「現況調査に関する通知」が届きます。この通知が来るのは滞納からおよそ6ヶ月を過ぎてからとされています。

そこから調査などを経て公告から3点セットの情報公開まで1週間以上、入札開始までにはさらに1週間以上を要したのち、入札期間が1週間~1ヶ月間程度設定されます。

開札は入札終了から1週間以内に行われ、さらに1週間以内に売却が決定されるという流れになっており、競売の開始が決定してから半年~1年以上の時間を要します。

担保不動産競売にかかる費用

続いて競売にかかる費用について説明していきましょう。

担保不動産の競売申立書の提出には、担保権1個につき4,000円の手数料がかかります。

また「予納金」という申立てに必要な費用が別途あり、請求債権額が2000万円未満で80万円~請求債権額が1億円以上になると200万円という範囲内で設定されます。

予納金は実際に発生した費用を差し引いて所定の支払いをした後、残額があるときは返還されますが、申立人には負担する費用があることを知っておきましょう。

こうしてみると競売の手続きには時間もお金もかかることがわかります。

貸したお金を回収したい債権者は本来なら、費用も時間も費やしたくないはずですので、競売に移る前にローンの借り換えを提案したり、不動産売却を勧める金融機関もあります。

競売の3点セット

競売の流れのなかで「3点セット」というワードが出てきましたのでこちらで触れておきましょう。

裁判所は競売を通じて購入を希望する人に対して、不動産の基本的な情報を公開するために以下のとおり「3点セット」と呼ばれる資料を作成します。

  1. 現況調査報告書
  2. 評価書
  3. 物件明細書

「現況調査報告書」は、執行官が法律上のさまざまな権限にもとづいて調査した土地の形状や地目、建物の種類などを記載したものです。

不動産の占有情報や写真、間取図なども現況調査報告書に含まれます。

「評価書」は、裁判所から委託された不動産鑑定士などが作成する資料で、評価額とその算出方法を明示しています。

「物件明細書」は、不動産の権利関係や事実関係を記載したもので、買受人が引き継ぐ貸借権などの権利や地上権の成立の可否と占有の状況などを記載したものです。

競売は通常の不動産売買と異なり内見ができないため、購入者はこれらの公開された情報をもとにさまざまな判断をすることになります。

そのため詳細を調査して記載することは重要で、法律で定められたルールですが、債務者にとっては調査員の存在や情報の公開が精神的ストレスにつながる可能性があるといえます。

競売より高い金額で不動産を売却する方法

担保不動産競売申立

ここで考えてみましょう。

  • 債権者は、貸したお金を時間をかけず、より多くの金額を返してほしい
  • 債務者は、返済のために高い金額で物件を売却したい

債権者にとっても、債務者にとっても納得がいく、折り合いのつきやすい売却方法はあるのでしょうか。

任意売却

担保になっている不動産を売却し売却代金で返済する手続きに「任意売却」というのがあり、さまざまな面で債務者と債権者の双方にとってのメリットがあります。

  • 価格…市場価格に近い値段で不動産を売りに出せる
  • 残債…売却額や金融機関との話し合いによっては残債を大幅に減らすことができる
  • 短期間…1~3ヶ月の比較的短期間で売却できる
  • プライバシーの保護…公表しなければ周りに知られることがない

任意売却は話し合いによって進められるので、債権者のその後の生活に支障がないように、返済額の調整をしてもらえたり、売却先も相談することができる見込みがあります。

リースバック

リースバックは、不動産を売却し現金化した後、賃貸契約を結んで家賃を支払う仕組みのこといいます。

リースバックを活用すると金融機関や不動産業者との交渉次第で、住宅を手放さずにそのまま住み続けることができたり、将来、資金が集まれば買い戻すことも可能になります。

入退去の手続きが不要で、空き家になるリスクもないため、新しい不動産取引のかたちとして専門的に取り組んでいる不動産業者が多くあります。

まとまった資金を手に入れることができるうえ、引っ越しの必要がないというのは債務者にとって救いになるのではないでしょうか。

場合によっては負担が軽減されて、早期の債務完済につながることもあります。

競売開始の決定通知が届いた後でも、相談のタイミングや住宅ローンの残債の金額によっては任意売却やリースバックという仕組みを利用して、競売より高い金額で不動産の売却を行うことができると知っておきましょう。

まとめ

アパートやマンションなどの集合住宅の増加が著しい現代で、賃貸で住む選択をする方も多くいますが、今もまだ「マイホームを購入することが人生の幸せ」という固定概念が広く根付いているのも否定できません。

住宅ローンの返済が重荷になっている方にとっては、将来への不安やつらい気持ちが日々の生活を息苦しくしてしまい、住宅ローンに縛られた人生だと感じている方もいることでしょう。

近年、在宅勤務や外出自粛などでより良い住居環境を求める方が増えている影響もあり、住宅ローンの新規借入れ額は過去の統計よりも増加しています。

しかし、長い人生では想定外のことも起こりますので、さまざまな事情によって住宅ローンの返済が延滞してしまう可能性も潜んでいます。

競売開始の決定通知が届いた後でも、焦らず現状を把握しましょう。

任意売却やリースバックによって競売より高い金額で不動産の売却を行うことができるかもしれません。

不動産の競売や売買の取引には権利の関係や複雑な事情などが重なり、専門的な知識が必要になることもありますが、まずはお持ちの不動産がどのような契約でローンを組んでいたかよく知っておき、いざというときにはすぐに専門家に相談できるようにしておきましょう。

電話無料相談はこちら

03-6890-2573

受付時間 9時〜19時 (土日祝も対応中)

リースバックに関する最新記事

無料一括査定