老後の住み替えにマンションを選ぶ時のメリット・デメリットと注意点
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令和元年の簡易生命表を見ると、男性81.41歳、女性87.45歳と、日本の平均余命は上昇の一途をたどっています。
長寿自体は喜ばしいことですが、老後の諸問題の悩みが増えるという、皮肉な状況となっています。
そしてそんな中、住み慣れたマイホームが、自身の生活基準と健康状態に段々と合わなくなってきていることに気付き始めるのは大体60歳代手前。
最近は、一戸建てではなくコンパクトなマンションを終の棲家に選ぶ人が増えてきています。
ここでは、老後の住み替えにマンションを選ぶ時のメリットやデメリット、注意しなければいけない点などをご紹介していきます。
老後の住み替えを考える主な理由
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老後を前にして住居を住み替えたいと思う理由は主に3つです。
- 子供が独立して出ていくので、大きな住居が必要なくなる
- 退職年齢を迎えるので、職場からの距離などを考慮しなくてもよくなる
- 住居の老朽化
今現在の住居に移り住んだのは、おそらく子供が増えるなど家族構成が変わったり、転勤だったりという理由だったと思われます。
60歳代手前で住み替えを考える理由も、根本は同じですが、そこに「老後」が含まれてきます。
夫婦2人暮らしに必要のない広い住居で、掃除や修繕などの維持管理をしていくのは、年齢を重ねるにしたがって負担になってくることでしょう。
退職したとなれば、通勤のしやすさよりも暮らしやすさや自分の人生の質を上げられる環境を選ぶ自由も手に入ります。
そして何より、住居も老いていきます。安全に住むために必要な修繕リフォームをするにも、費用負担は結構大きいものになります。
また、もっとも心配なのは、高齢化していく自身の運動機能でこれまでどおり今の住居で暮らしていけるかどうかの問題です。
家族構成、人生の節目、年齢と、老後の住み替えはさまざまな状況の変化を内包している問題といえるでしょう。
マンション以外の選択肢
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老後の住み替えを考えたときにマンションを選ぶ人が増えている理由を考えるうえで、まず先にマンション以外の選択肢を見てみます。
建て替え・リフォーム
住居は変わっても住む場所を変えなくていい建て替えやリフォームは、それまで培ってきたご近所づきあいが途切れることがないので、新しい土地に馴染む努力などの必要がありません。
老後に向けて、バリアフリーに作り替えるのもいいでしょうし、戸建てで環境が良いようなら賃貸併用住宅に建て替えて家賃収入を得るということも可能です。
しかし、リフォーム期間中の仮住まいの手配や、立地条件が悪ければ、いざ売ろうとしても買い手がなかなかつかないというデメリットもあります。
子供世帯との同居または二世帯住宅
何と言っても安心感がある、同居や二世帯住宅は、一番人気があるように思われますが、二世帯住宅はなかなか売却しにくいという事実があります。
そしてたとえ安心感があっても、世帯間の人間関係が必ずしも上手くいくとは限らないという難点があります。
二世帯住宅でもなく同居でもない形ですが、それに近い解決策として、同じマンション内の近い部屋にそれぞれ住むという方法もあります。そうなると、選択肢としてはマンションということになります。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
介護サービスなどが付いているシニア向けの住宅で、マンションに近いものです。
購入もできれば分譲もあり、介護の他には見守りや食事サービスなども申し込め、同じ年代の人が暮らしているため友人も増え、孤立しないので安心です。
しかし本格的な介護ができる施設ではなく、あくまでマンションなので、一定の介護状態になった場合は退去しなければなりません。
加えて、サ高住に居住するためには、60歳以上か、要介護認定を受けた60歳未満という、一定の年齢制限や条件があり、それに満たない家族が相続しても利用ができず、居住していない物件を売却することになるので税金が高くかかります。
老後の住み替えにマンションを選ぶ場合のメリットとデメリット
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それでは昨今、老後の住み替えにマンションを選ぶ人が増えているのは何故でしょうか?
マンションを選んだ場合のメリットとデメリットを詳しく見てみます。
メリット
老後の為の住み替え先として検討する場合は、子供がいなくなる前提ですので、ファミリーサイズではなくダウンサイジングしたコンパクトなマンションになります。
設備の充実
オートロックでセキュリティ上心配がなく、一戸建てのように庭の手入れやメンテナンスなども心配する必要がありません。
エレベーターも完備され、段差がないなどバリアフリー構造になっているので、高齢者でも安心して生活できます。
立地条件の良さ
マンションは利便性の高い場所に建てられている場合が多く、銀行や病院が近かったり、買い物や交通の便が良かったりと、環境を選ぶことも可能であり、立地条件が良いと売却もしやすく、相続の時の精神的負担も軽減できます。
デメリット
生活音
マンションは隣近所との距離感が近く、戸建てに住み慣れている場合は、相手にとっても自身にとっても生活音が気になるところです。
もしトラブルになっても、そうそう何度も転居を繰り返す訳にはいきません。
床や壁に使われている素材が、防音や吸音に優れているか、二重構造など床の作りはしっかりしているかなどは、購入前にしっかりと確認して選びましょう。
マンションの修繕費等
中古マンションの購入を考えたときは、きちんと計画に則って大規模な修繕が定期的に行われているか、いざという時の修繕の積立金がプールされているかなどが、安心して購入するために確認すべきポイントになります。
値上がりしていく修繕積立金のことを考えると、あまり築年数が長くない、できるだけ新しいマンションを選んだ方が無難といえます。
老後の住み替えにマンションを選ぶ場合の注意点
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マンションのメリットを見ると、良い立地条件が選べ、戸建てほど維持管理に頭を悩ませる必要がなく、なにより相続の問題も解決しやすいという、老後の住み替えに多く選ばれる十分な理由があると納得できると思います。
しかし、いいところばかりに見える住み替え時のマンション選択ですが、やはり気を付けなければならない点はあります。
資金計画をしっかり立てる
マンションを選んだ場合に限りませんが、今の住居を売る時はできるだけ高く売りたいところです。
もし退職金だけで住み替え先を購入することが可能であれば、今の住居の売却金をあてにするよりも、賃貸にして有効活用するのも手です。その場合、住宅ローンの残債がないことが条件になります。
今の住居の残債が残っている場合は、あらたに住宅ローンを組む必要が出てきます。年齢制限等の理由で、返済期間があまり長くとれないので、借り入れできる額もそう大きくはありません。
老後に受け取ることになる年金額がいくらになるのかを今のうちに確認して、大体どれくらいの額で毎月暮らしていくかを知っておくことが、住み替えにおける資金計画の大切なポイントです。
老後は急に体調を崩すなど、不意の費用が発生することが考えられますので、退職金は全部を住み替え先に使ってしまうのではなく、余力に残しておいた方が賢明です。
老後をどう過ごしていきたいのか
定年退職してからは、趣味や生きがいなど自分の好きなことをする時間が増えます。
習い事をするなら人の流れが多い環境の方が選択肢は増えますし、老後の健康を気遣い運動をするなら公園やジムが近辺にあるなど、活動的に外に出かけるのであればマンションが有利です。
動物が好きならペットを飼ったり、ガーデニングや家庭菜園をしたり、DIYで模様替えを自由にしたい人もいるでしょう。その場合は、一戸建てを選ぶと制限を気にする必要がありません。
どんな立地条件や環境であれば、自身の望む老後が叶うのか、生活面だけでなく色んな角度から検討すべきです。
まとめ
どんな風に余生を暮らしていきたいか、そして、どこに重点を置いて生きていくかで、選択する住み替え先が変わってきます。
住む場所を検討する前に、自身の人生をどんなものにしたいのかを整理するのが先にすべきことなのかもしれません。
そして、どんなにしっかり検討して計画を立てたとしても、思うようにいかない予測不能な事態にももちろん出くわすことがあるでしょう。
老後の、自身が思う本当に困った事態になった時に、どんな住み替え先であれば、周りに迷惑をできるだけかけずに対応できるのか。
老後の住み替え先を探すということは、いつまでも若くない自身が、普通に暮らしていくことと、暮らせなくなったときのこととの、両方を考える必要があるのです。
この記事が、老後の住み替えにマンションを考えている人の参考になれば幸いです。